【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
傑と一緒の時間を過ごして正解だった。下心があったとしても心の何処かで気付いてほしくて"居候"という心の拠り所を無意識に求めていたのかもしれない。
適度に力を抜ける完璧な悟とは違い、傑は完璧でいるあまり多くのモノを抱え過ぎていた。呪力に恵まれて、才能に期待されて、人格を誇られて、行き場の失ったニヒルな仮面が剥がれ落ちたように笑いと涙が交差する。
「あー…すまない。こんなに笑ったのは初めてだ」
「やった…!それじゃあ大笑い大成功だね!」
は沖縄でのリベンジが果たせたと笑った。笑い終えた傑は何だか吹っ切れた顔をしていて、気持ちを改めるように長い息を吐く。
「。君に惚れて私は間違えてなかった」
「ゾンビ女ですからね」
「こんなこと言ったら嫌われてしまうけど、恋愛は馬鹿にできないね。君は自覚がなかったみたいだけど、私は君のことを知れば知るほど自分と重ねてどうにかして気を引き止めたかった。君となら幸せを望んだって良いじゃないかって……。何度も引き返そうとしたけどの笑顔がこびり付いて頭から離れなかった」
辛い時こそ笑えなくて、落ち込んだ時にこそ客観的に考えたり、未来の自分を想像したりする。術師として生きる覚悟を決めた傑は恋愛に価値を感じず、人々を守る高みにいることで生きる理念を見出していた。
けれどふと思った時にの顔が過り、自分が身を引くということがいつの間にか出来なくなってしまったと語る。
「。この恩は少しずつ返させてもらうよ。私はもう大丈夫だから安心して」
「ホントかなー?」
がそういうと傑は姿勢を屈め、唇にキスを落とした。
「初めのお礼はキスでいいかな?」
「ゲロ飲んだ口でキスされた……」
「あ。すまない。味がしなかったからすっかり忘れてた」
傑はおどけた顔をしての力を借りながら残りの呪霊を消化していったのであった。