【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
「悟や硝子はともかく、灰原が聞いたら面目が立たない」
「あー…あの子、傑のこと滅茶苦茶慕ってるもんね。ひとりで勝手に空回りしちゃいそう」
「それに君に話せて楽になれた。大丈夫」
「……傑の大丈夫は大丈夫じゃない気がする」
黒い玉をつくる傑は顔の表情を変えない。気付けたけど本当の意味で歩み寄れていない。ニヒル顔で作られたポーカーフェイスを崩すにはどうしたら良いんだろう。
自身、衛生観念を気にして血液ではなく呪力を媒体にしていた。しかし、傑の取り込みに関して綺麗に呪力で纏まっていると錯覚していたから大して大事には考えていなかった。その背景で傑は人々を助けるため不屈の精神でクソ不味い呪霊をただひたすら腹の中に溜め込んでいた。
「心を開くってそんなに弱い人かな……」
「?」
「人間誰しも正解じゃない。私は本気で非術師を守ろうとする傑みたいには生きられない。非術師の作ったものを見るのは好きだし平穏な日常が羨ましく思うけど貧弱すぎて見下してしまうし、人間的に関わるのが煩わしいから調査は殆ど弦さんに任せっきり。──…私は人々の幸せを願うより、自分の周りにいる大切な人達が気楽になってほしいから戦ってる。傑は大丈夫だっていうけど、私は辛いよ……。一人で格好付けてたって置いてかれたら寂しいよ」
は自分自身が大嫌いだった。だから周りに上手く頼ることができなくて、兄夫婦や悟の優しさに気付くのが遅れてしまった。
「私のこと好きっていうなら、頼ってよ」
対等な関係でありたい。助け合える関係でいたい。一人で抱えるほど虚しくて、悲しくて、辛いドン底を知っているから少しでも傑の気持ちを分かってあげたい。
「……フ、…フフ、あはははははッ!!」
「傑が壊れた」
取り繕った笑みが崩壊し、小さく肩を震わせると傑は突然腹を抱えて大笑いし始めた。面白おかしいのか涙をボロボロと流している。
傑は完璧なほどまでに"理想の自分"を保とうとした。理念を求めるあまり誰にも頼ることなく、弱みを見せることもできず、塞き止めていた感情が弾けて、色々通り越して大爆笑しているように思えた。