【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
──2006年11月 ■■県■■市■■高等学校
任務概要
文化祭当日の神隠し
その原因と思われる呪霊の祓除
「重いなぁ…」
「………」
どんよりした湿気った空気。文化祭の飾りつけはそのままで車から降りたと傑は廃校と化した沈黙を守る校門の前に立つ。規制線の黄色いテープでぐるりと囲まれ、鼻につく独特ともいえる呪霊の異臭。
「いるね」
「一刻も早く彼らを救出、回収する必要がある」
「帳を降ろします。"闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え"……どうかご武運を」
弦は外側に移動し、一礼して言葉を残すと帳が完全に降り切った。
「行方不明者、2年■組の全生徒と担任含めた34名。文化祭前日、同クラスの男子生徒・柳生宇汰が屋上で首を吊って自殺。学校側は中止の意向を示したが、生徒やPTAの言いなりになり文化祭を決行。開会式で黙禱を捧げたようだがこれは中止すべきだった」
「皆消えちゃって口無し。翌日、呪いに転じるなんて相当だよ」
「禁忌に手を出し、自らの命を代償にしたとしてもだ。この辺にある呪物を見て回ったがそれらしい残穢は見当たらなかった」
「稀な例だね。他のクラスの子は口を揃えて知らないっていうし、いじめ調査も役立たず。共働きの両親も気付かなかったときた。担任も消したってことはイジメの事実を知っていたか、何らかに関与してたってことだよね」
「宇汰君は学年でも成績上位で真面目な生徒だったらしい。ただ2年生になってから急激に成績がガタ落ちした」
「首謀者に目ぇつけられて全員で総イジメ。救える方法と誰も出会わなかった」
「首謀者である女子生徒の顔は割れている。彼女もそのうちの犠牲者。1年時から親の権力者を使って好き勝手やっていたと聞く。実際に転校した生徒もいたそうだ。今回の彼はこの世を怨んで自殺する選択に踏み入ってしまった」
「………胸クソ悪いな。そーいう話ってホント」
「探そう。私達に出来るのはそれしかない」
「だね」
傑とは校門を潜り、屋上から首を吊って自殺した方角へと目を向けた。