【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
脳内で眠っていた記憶の残影。
通常であれば乳児の記憶は成長とともに欠如していくが、繰り返される"死の経験"をたどっての記憶の箱が揺れ動く……
「思い出したか?」
の僅かな表情の変化を見逃さなかった男は明るい声を出した。
「──御免。思い出したけど名前知らない」
「ぶはッ!!あはははははッ」
男は腹を抱えてゲラゲラ笑い出す。笑いすぎて涙が滲んでおり、の頭をこれ以上ないくらいワシャワシャと撫で回した。
「禪院甚爾。今は婿入りして伏黒ってんだ」
「禪院……」
男の口から呪術界御三家のひとつ・禪院家の出だと知る。長い歴史と権力を持つ家門にはやっかみ事が多くあり、術式を受け継げなかった者、才能がない者、呪術が使用できない者については例え正室の生まれであっても冷遇され、逆に術式さえ受け継いでいれば側室や家から距離を置いている術師の子であっても厚遇される傾向にある能力主義。
禪院は特にひどい家柄で、呪力が完全にないこの男の行く末など聞かずとも想像できた。
「あの時は助けてくれてありがとう。でも、甚爾のやったことは許せない」
「最初に言ったが俺の目的はただひとつ。金が欲しい。アイツは愚か六眼のガキも瀕死だ。止めを刺しちゃいねぇ。同期に治療師いんだろ、アレでどうにでもなる。天元がどうなろうと俺が知ったこっちゃねぇ。こっちは賞金さえ手に入れば終いだ」
「3000万の成功報酬。理子ちゃんの命と引き換えに?」
「生死問わずって書いてあったろ。俺の仕事じゃねぇ」
「銃で撃った」
「楽にしようとした」
「手を出したのはそっちが先だ」
「入れ込むようなガキか?ただの猿一匹だろ」
「星漿体を護衛するのが私達の任務だ」
「それでパァにしてやろうとした。あそこでモタモタしてたのは何だ?腹ん中に入っちまえば俺が辿りつけなかったかも知れねぇのに──」
甚爾は突如現れた背後の気取った。もそこに立っている異質な存在に目を見開く。
「──よぉ。久しぶり」
「…………マジか」
そこには敗れたはずの悟が異常な流れを纏っていた。