【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
太鼓妙眼…発動条件は目を合わせること。呪力のほか五つの感覚機能を支配し失認させる瞳術。ただし質量などの細かい調整はできずon/offの切り替えのみ。術式対象は自身を含めた一人。特級呪具・空蛇の使用時は己自身の聴覚と触覚を失認させていた。
「チッ。失望しろよ」
瞳術に完全に嵌めたが、天与呪縛のフィジカルギフテッドは一筋縄では行かなかった。短時間で地形を把握するスキルと第六感で動き回る抜群なセンス。すべての五感を支配したことでの脳神経に相当な負荷がかかった。
ガッ、ガッ、ザシュッ
「押さえた」
斬撃を喰らうと男の体躯に巻き付いていた格納呪霊がちぎれ落ち、手を翳した傑は降伏条件を省いて取り込むことに成功。男の持つ武器は片手刀ひとつ。
「ぐぅうウッ」
は眼球を通じて脳が焼き切れるような激痛を覚え、瞳術が強制解除。五感を取り戻した男は刹那に状況を把握し、程近くにいた傑を真正面から斬りにかかった。
バヅッ
「ッ゛──」
盾にした呪霊ごと傑は斬られ、直後に足蹴りされる。意識が途切れたと同時に操っていた呪霊達が一斉に姿を消す。
「術師なら死なねぇ程度に斬った。式神使いなら殺したが呪霊操術となるとな。ってか参った。俺の格納呪霊まで取り込みやがって」
「貴様ァ…!!」
呪霊で守られていた理子は横たわる傑に駆け寄って男を睨みつける。
「またお前を殺ったらアイツに跳ね返んのか?なあ」
しかし男は標的であった理子など眼中になく、膝をついて座り込むに目を向けた。
「馴れ馴れしく呼ぶな」
「本当に忘れちまったのか?まぁあん時は赤ん坊だったから覚えちゃいねぇか」
「赤ん…坊……?」
に「話をしたい」と最初に持ちかけたのは本心だったようだ。男は戦意喪失した様子でと視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「あぁそうだ。お前が骨になって山ん中に埋葬された時、俺が土掘って助けてやった。返すつもりはなかったんだが死体がねぇって騒いで懸賞金まで出た。ひと月くらい汚ねぇ小屋で一緒に暮らしたんだぜ?」
男は懐かしむような笑みを零し、血流の混じった涙を柔らかな頬ごと親指で優しく拭い去った。