【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
淡々と澄ました顔をしているが致命傷でなくとも深手を負った瞬間はこの目で見た。悟はサングラスを外しながら言葉を続ける。
「天内優先。アイツの相手は俺がする。傑達は先に天元様の所へ行ってくれ」
「………」
「油断するなよ」
「誰に言ってんだよ」
悟の判断は正しい。自分が出しゃばったとしても悟は絶対に譲らない男だ。何より悟の術式が最大限発揮される実情を知っている。判断が鈍る前に後ろ髪引かれる思いで高専内を走り抜けた。
ドゴォオオオッ
同じ地点から響く爆発音。
(大丈夫。どうか……)
高専最下層へと続くエレベーターに乗り込むと爆発音が遮断される。呪詛師との戦いは今に始まったことじゃない。胸や胃腸がキリキリして拭い切れない不安要素。何故、こんなにも厄介な相手だと感じるのか。相手の人相はハッキリ見えなかったが認識できない先にある違和感。
ゴゥン…、シャアッ
最下層へと辿り着くと黒井はこれ以上は進めないと律儀に足を止めた。
「私はここまでです。理子様……どうか、」
頭を伏せ、震えながら最後の言葉を口にする黒井。振り返って足を止めた理子は思いっ切り抱き付いた。
「黒井、大好きだよっ!ずっと…!!これからもずっと!!」
「私も…!!大好きです……っ」
非術師には極力干渉しないでいたのに、別れのシーンを自分達と思い重ねてしまい途端に涙腺が脆くなった。
「っ、ああもう最悪……」
「…………」
メソメソするのは弱いから好きじゃないのに気持ちがブレた。
お転婆少女(星漿体)は人類にとって必要な生贄。天元様と同化できるなら喜んで身を捧げる輩は沢山いるのに。それなのに生まれながらの宿命だとはいえ、良心の呵責に苛まれていく。
は理子に気付かれる前に涙を拭い、家族との別れを惜しんだ理子と共に暗い通路を進んだ。
「ここが……」
「あぁ。天元様の膝下である国内主要結界の基底、薨星宮(こうせいぐう)本殿。階段を降りたら門をくぐって、あの大樹の根元まで行くんだ。そこは高専を囲う結界とは別の特別な結界の内側。招かれた者しか入ることはできない。同化まで天元様が守ってくれる。──…それか、引き返して黒井さんと一緒に家に帰ろう」
「!?」
「………… え?」