【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
は話が重くならないように明るく振舞った。
「やっぱり身動き取れない系が肝が冷えたね。まず初めにバラバラフェスティバルにされて、次に蝋人形みたくドラム缶で固められちゃったの。それから何も見えなくなったんだけど、エンジンの音とか振動は感じることができて転がされてる感じするなーって思ったら近くの底なし沼にポイッ」
「………」
「蝋と泥のコンボだったからマジで焦ったなー」
の受けた残虐鬼畜な非情行為に傑は言葉を詰まらせる。傑のこめかみには血管が走っており、は慌てて明るい表現を口にした。
「ああこれはハードな脱出ゲームっていう…──」
言葉を遮るように無遠慮な力で引き寄せられる。
「……傑……?」
肋骨が圧迫されるくらい強い抱擁だった。ありのままの存在を確かめるように強く抱かれ、当時を思い返してジワリと目頭が熱くなる。同情する言葉がなくても必要としないくらい、傑が心配してくれる気持ちがぬくもりとなって全身に流れ込んできた。
ふと肩の横で鼻をすすった音を拾い、傑が自分のために悲しんでくれているんだと思って嬉しくもなった。
「……君は、苦しくないのか?憎くならないのか?」
体を少しだけ離した傑が見詰めて聞いてきた。
「上は嫌いだけど今は辛くもないし悲しくもないよ。私は恵まれてる。だってこの頃……、幸せだなって思うんだ」
「?」
驚いたけど気付かせてくれた。たまたま同級生になって、心の底から頼りたい特別な仲間だと思っていたけどそれだけじゃなかった。
「好きな人にこうして想ってもらえる。私は今、すごく幸せに笑えているから」
「っ……」
傑はグッとそれ以上に眉間に皺が籠ると、涙点から一筋の枝垂れが流れた。
「傑も泣くんだね」
「君はデリカシーがないことを言うな。悟や硝子には言わないでくれよ」
「えへへ。言わないよ」
「その笑いは信用していいのかな?」
腕のあいた隙間から傑の流した涙を拭う。
「私は信用してるから話したんだよ。手遅れだったらもうとっくに壊れてる。だから傑も辛抱強く頑張り過ぎないでね?」