【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
「すまない。困らせるようなことを言ってしまった」
「あ……ううん。別に」
顔に出てしまったのか、先に謝られて何も言えなくなる。傑はどう想うのだろう。悟は傑にも同じ好意があると暴露してきたが傑本人に聞いたわけじゃない。悟は適当なことをいう説が多々ある。
「あのさ、傑」
「なんだい?」
「どうして傑はうちに居候しようと思ったの?」
祖父の依頼だとはいえ、年頃の男女が一つ屋根の下で暮らす実態。同級生愚か異性だと思われていなかったらそれはそれでショックだ。悟に言われて初めて傑も特別な存在だと改めて気付かされた。
だから傑の気持ちも知っておきたい。答えられない自分は優越感に浸りたいただの卑怯者だけど、もっと欲張りで高慢な浅ましい気持ちが膨らんでゆく。
傑は一度静かに息を吐くと、真っすぐの目を見詰めた。
「私にまだ付け入る隙があるのかな」
「それは、……どういう」
「。ちょっと顔貸して?」
クイクイと内緒話でもするように接近を求められ、はお尻の位置をずらす。前屈みになって片耳を向けようとしたら顎を持たれ、絶妙な角度で唇が重なった。
「──……」
時間が止まったと思った。それと同時にバサッと紙が落ちる音が聞こえ、唇が離れる。
「理子ちゃん。何かありましたか?」
「ぁ……いやっ!!その、すまぬ!!邪魔をした!!」
「え、ちょ」
「…部屋の方向だ。放っておいていい」
「でも万が一って、ンむ゛」
顎から離れた指は唇のうえで押し付けられる。人目がある場所なのにこんな大胆な真似をする傑は傑でないようだ。
「芽が育つ前に摘まないとね。狡いかな?」
「えっ。それじゃあワザと見せつけて…」
「私の気持ちは本物だ。誰にも邪魔されたくなかった。でも意地悪が過ぎたかな。何かあったら悟に言い訳できないから後を追うよ。はここで待ってて」
「う……うん。気を付けて」
何もかも逆手に取られた気分だ。乙女の恋心を弄ぶ傑は悟よりタチが悪いと思ってしまった。