【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
「──それでは。私は此処で」
突然、黒井は別れの言葉を告げた。
「えっ。黒井も一緒に行かないのか?」
「何か御用でも?」
「色々手続きを済ませばなりませんし。それにアナタ方は非常にお強い。理子様の身を守ってもらえれば私はこれ以上何も望みません」
そういう事じゃないだろ、と口を割りそうになったが理子は俯いて苦しげにスカートの丈を握り「……そうだな。今まで世話になった。達者でな」と涙を堪えて、素直になることさえも諦めてしまった。巻き込みたくない故の決意なのだろうか。
「──良いのかい?」
黒井と別れ、引き戻せる距離まで歩くと傑は繰り返すように理子に訊いた。
「何回も言っとるじゃろ。妾は平気じゃ。黒井にもちゃんとお別れを言えた。友達にも短かったがお別れを言えた。後は妾が無事に天元様のもとへたどり着き、天元様と同化後も共に生き続けるのじゃ!!」
「コイツにおセンチなんて言葉は合わねぇんだよ。気を遣うだけ無駄無駄。ちゃっちゃと天元様に引き渡そうぜ」
「フンッ!!貴様は少し口の利き方を弁えろ!!」
「そうだぞ、悟。前から言おうと思っていたんだが一人称"俺"はやめた方がいい」
「あ゛?」
「特に目上の人にはね。これから天元様に会うかもしれないわけだし、"私"最低でも"僕"にしな。年下にも怖がられにくい」
「はっ。嫌なこった」
「僕、私。ウケる」
「がいえば悟も聞くだろ。冷やかさないでくれ」
傑に諭され横を歩く悟と目を合わせると、一人称「僕、私」と使いこなす悟の姿を想像してみる。
「……プッ」
が噴き出すと悟は途端に不快感を露わにした。
「んだよ。腹立つ」
「だって想像したら面白くて。ククッ」
「どんな俺想像してんだよ」
「少なくとも今より丸くなった印象だろうね」
「丸く?俺太らねぇ体質だぞ」
「甘いもの食べすぎて太らなくても年を取れば体質変わるんだから。傑はずっと一人称"私"なの?」
「なワケねぇだろ」
「あははははッ」
真面目でも悪ノリしてくれるのが傑。我慢できなくて大きな声で笑ってしまったが、しんみりとした理子の顔が横目に移り、不協和音が鳴った気がした。