第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑～3LDKふたりの居候～

どうしてこんな憤りを含んだ声を出すんだろう。自分が叱られたように感じて威勢の良い返しができない。

「本気で言ってたらお仕置きすんぞ」

「っ、本気もマジも怖いって言ってるじゃん！！掛け合いなさいよっ」

「じゃあ訂正しろ。俺にお前以外の選択肢はねぇ。お前以外との子種なんてクソすんのと一緒だ。お前のことこんなに想ってんのに解ろうとしねぇからビビってんだ。俺のこと受け入れろよ。それと好きって言え。そしたら幾らでも楽になれる」

「うぅ～…っ」

気持ちを一方的に肯定されても困る。悟は自己中だし冗談でもデリカシーのない発言連発しまくり出し、性格の悪さは知ってるけどそれだけじゃない。何だかんだ言って最後は話を聞いてくれるし、落ち込んでたら笑わせてくれるし、どことなく掴めない憎らしさと明るさに何度か助けられたこともある。

考えれば考えるほど欠点だらけの男で、一緒にいる空気が楽だとか好きだとか、頑張って探せば色々あるけど、今まで築いてきた一線を越えてしまう恐怖。

「今は決められなくても俺が好きだって言え。今はそれで良い」

「そんなこと言われたって……」

「俺を受け入れられない？本気の本気で俺のこと嫌い？」

「ううん違う。違うからどうして良いのか分からないの……っ」

好きだから一緒に居たいと思った。離れたら寂しいと思った。悟のことは少なからず好きだと認めよう。友達として好きだとか異性として好きだとか区別は付いてないけど、「好き」ってそう簡単に言える言葉じゃない。楽になりたいけど悟に「好き」って言えない。

いまのの心境ではハードルが高かった。

「あー悪ぃ。泣かせるつもりなかった……」

「ううん、ハッキリしない私が悪いんだよね。御免。アンタの気持ちは嬉しいけど……私…っ」

「傑にされても同じこと言うんだろ？それでも良いよ。俺は抜け駆けして早く帰って来ちゃったけど、ぶっちゃけアイツもお前のことが好きだ」

「……なに、傑の気持ちぶっちゃけてんのよ」

「気付いてないのはだけだ。硝子も歌姫もジジイも皆気付いてる。だから俺達が選ばれた。と一緒に大人になりたいからこの3LDKに引っ越してきたんだ」