【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第40章 呪術廻戦✿狗巻棘「消しゴムの跡」
はこの指輪は同居人とお揃いのもので、いずれは婚約者になる人かもしれないと応えた。
「すじこ」
「うん……私もその人のことが本当に好きなのか分からない。けど、親が決めた結婚相手だから破棄するわけにはいかないの」
同居人は面識のある人だったけどあまり話したことがなかった。お互いを知るためにもひとつ屋根の下で暮らすことを親に勧められ、一緒に住むことになったが満たされる日は訪れなかった。
そんな時、仕事中に慰めているところを狗巻に見られた。
「──っ!?」
「しゃけ」
「だっ、誰にも言わないで?!おねがい…っ、狗巻くん違うのッ……本当はこんなことするつもりじゃなくて……っ」
家の中はにとって堅苦しい場所となっていた。女として求められても上手に感じられなくて、イくことが出来ないまま終わって、ひとり満足して済ませた同居人は疲れたように眠ってしまう。
は負担になりたくなくて言うことができなかった。
「高菜」
「っえ…?」
すると自分よりも年下の狗巻は頭をなでなでしてきて、頬っぺたにフワッとした優しいキスをした。慰められると分かると涙がジワリと浮かび、指先で拭われると今度は唇を塞がれる。
「しゃけ」
「?」
おにぎりの具でサッパリなにを言ってるか分からなかったけどキスの数だけ優しさを感じていった。駄目だと分かっているのに止められなくて、つい…求めるような仕草をする。
これはすべて狗巻だけのせいではない。
「しゃけ」
「狗巻く…」
「おかか」
唇に指先を置かれ、狗巻は首を横に振った。男女がベッドに入るときは互いの名前で呼び合おうという熱い視線。
「と……棘…くん…?」
「ツナマヨ」
ツナマヨが"好きだよ"と変換された気がして、優しい目をして微笑んだ狗巻はに再び口づけた。そうして同じベッドになだれ込んだのが忘れた欠片の始まりだった。