【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
「七海くんが居なくなって、信頼していた先輩も出産を機に辞めちゃって。極めつけは頭だけ交換された……ポルノ動画だった。今までは手紙と電話だけだったのに、狙ったように二人が居なくなってから入ってて」
「チッ…」
面白くない。
フェイクポルノの多くは有名人がターゲット。
技術の進化に伴い、一般人でも被害に遭ったと聞いたことがある。
「もう警察しかないと思ったんだけど、こんなこと言えなくって…。家族にも相談できなくって……」
自分の体じゃないと分かっていてもだ。
訴えればそれだけ多くの人の目に止まる。
誰にでも顔を入れ替えられる。
より精巧な動画になれば見分けもつかなくなる。
性の恐怖と絶望は、途轍もなく精神的ダメージは大きい。
がこんなに苦しんでいたのに。
何もしてやれなかったどころか気付けなかった。
クソッ。
「もういいです。嫌なことを思い出させてすみませんでした」
「ううん。全部聞いて。全部聞いてから七海くんに抱かれたいの」
「っ……。分かりました」
一緒に乗り越えるべきだ。
また逃げてどうする。
話す方も辛いに決まっている。
一緒に背負って、軽くするのがこれからの役目だ。
「仕事も簡単なミスの連続で業績は過去最悪。そんな時、後輩くんが一番近くに居てくれて、ずっと前から励ましてくれたんだ。もう誰でも良いと思ったし、信頼できそうだから大雑把に話して…。正気じゃ話せなかったからお酒一杯飲んじゃって、気付いたら後輩くんのアパートメントにいて」
「襲われたんですか?」
七海のこめかみにまた血管が走る。
するとはおかしかったのか、クスッと笑った。
「ううん。後輩くんがシャワー浴びている時に見ちゃったんだ。何となく手を伸ばしたAVのパッケージと送られた動画シーンが同じだったことに気が付いて。一気に醒めてそのまま警察行っちゃった」
警察にすべてを打ち明けた。
後輩の自宅から押収されたPCデータには加工済の映像。
AIソフトウェアまであって言い逃れはできない。
動画サイトからダウンロードしたと反論したが証拠はなかった。