【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
が胸の中にいる幸せ。
存在を確かめるために見つめ合いながら体を撫でた。
「七海くん……、七海くんがここにいる。夢じゃないよね?」
「夢で逢えても嬉しいですがこれは現実です。あの時は本当に──」
「ううん。謝らないで。すべて分かってあげられないけど大変だったよね。普通の人に出来ないことをするなんて凄いよ。でも、とっても恐いよね」
呪いの存在を直接目にしたわけじゃない。
あくまで耳で聞いてしまった想像だ。
でも、一生みえてほしくはない。
その時は危機が迫っているということになるのだから。
「不躾でお聞きしますが、さんは何故…転身されたんですか?」
「ホステスになったのは……その、長くなっちゃうけどいい?」
「ええ。すべて知りたいです」
は少し頭の中を整理するように唸った。
は七海の肩に頭を預け、ゆっくり語り出した。
「金融会社に勤めて一年半経った頃かな。差出人不明の手紙がポストに入るようになったの」
「警察にすぐ相談に行きましたか?」
「ううん。信頼している女の先輩に相談したんだけど、それじゃあ証拠が弱いって言われちゃって。最初は普通のラブレターみたいものだったけど、途中から行動時間みたいなの書かれたりして、それから読まなくなったの。そしたら今度は夜な夜な携帯に無言の電話が掛かってくるようになって…」
「クソッ…。以前の私に相談しろと言っても、あの時の私を殴り飛ばしたい」
「一人の夜が怖くて、七海くんならどうにかしてくれるんじゃないかって勝手に思って、お酒の席に何度も誘ったの。ずっと断られたけど、OKしてくれた時は嬉しくてつい飲み過ぎちゃって。……知らない誰かに襲われるくらいなら、好きな人に思いっきり抱かれたい、一人になりたくなくってベッドに誘って……」
そんな素振りを一切感じなかった。
まさかストーカー被害に遭ってただなんて。
酒の席でも仕事の不安はあっても一言も口にしていなかった。