【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
一緒に働いてきた仲間たち。
自分が良いとして通ってくれたお客たち。
警察が来る間、は青褪めた人たちを目に動けなくなってしまった。
ほかに何か出来ることがあったんじゃないかと嘆いた。
「貴女が悔いることじゃない。誰も貴女を責めたりしない。私はあの場であの蝶を見つけて、貴女を失うことばかり考えてしまった」
「……ぇ?」
黒い蝶を見た瞬間、最悪なことばかり頭の中を駆け巡った。
凄惨な現場と一緒に倒れたの姿。
いるはずなんてないと思っていても冷静じゃいられなかった。
後悔ばかりが集積し、息が詰まりそうになった。
「私は呪術界に四年間いました。そこでかけがえのない仲間と出会い、呪いに奪われた。私はその絶望に耐えきる事ができず、一般社会に出て、お金を手にして無縁に生きることを決めたんです。しかし、貴女という存在に出会ってしまった……」
失うことを恐れるほど。
目の前にいることさえ恐れるほどの。
「お金を手にすれば呪いや他人と無縁でいられる。他人でいられれば楽だった。それなのに私は貴女の存在を目で追い、癒しに触れ、貴方を抱いて恐ろしくなった。私には貴女の存在が大き過ぎた。近くにいなければ時期に忘れて行くだろうと、呪術界に舞い戻り、誰かのために生き甲斐を尽くそうと思ったんです」
自分は誰かのために尽すことを選んだ。
他人にを任せることを選んだ。
「貴女と一緒にいられなかった空白の時間がいま、もの凄く悔しいです。貴女に触れてきた男のことを考えると嫉妬で狂いそうです。一度、貴女を振ってしまいましたが……私にもう一度、さんに触れるチャンスを頂けますか?」
に触れたい。
抱き締めたい。
もう二度と離さないように。
しっかりと繋ぎ止めたい。
「貴女のことが好きです。ずっと、さんのことを想──」
胸の中に飛び込んできた小さな体。
とても暖かくて愛おしい存在。
自然に強く体を抱き寄せ、深く見つめ合って唇を重ね合わせた。