【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
七海は呪いの存在を話すと、はおぼろげに当時の様子を語った。
「今日は十八時からお客様と食事をして、そのまま二十時にお客様とクラブに入ったの。それからすぐクラブの前で別のお客様と待ち合わせをして、もうひとりの同伴のお客様は少し遅れると連絡があって、その間クラブのお客様とお話していたわ。そんな時……ふわっと夢で見た黒い蝶が目の前に現れたの」
「黒い蝶が…?」
「うん。最近頻繁に夢でも見るようになって、私はその蝶を追いかけて捕まえて……。何度も夢に見るから七海くんに何か悪いことが起こるんじゃないかって、すごく不安になってネットで調べたの」
七海からもらったバレッタの黒い蝶。
は無意識に夢の中でも追いかけていた。
その黒い蝶が七海だと思っていたらしい。
「調べてみて悪い意味じゃなくて安心した。黒い蝶を持っていたらきっとまた、七海くんと会えるんじゃないかって…、普段から鞄に入れて持ち歩いていたの」
はそれから重い雰囲気で話し始めた。
「家に帰ったら何ともないんだけど、クラブに入ったら耳鳴りがひどかった。すぐ耳鼻科で診てもらったんだけど何ともなくてね。仕事は順調だったからお客様の誘いを断ることもできなくて、憂鬱な日が続いていた。だから目の前に黒い蝶が現れた時、咄嗟に"追いかけなくちゃ"って思ったの」
もう一人のお客様まで時間があったが口八丁で誤魔化した。
黒い蝶は外まで出て行った。
はその蝶をふわりとした手つきで捕まえた。
の虚ろな表情をみて、不審に思ってついてきたのが後ろに立っていたあの黒服だという。
「クラブに戻ろうとした時、大きな悲鳴が聞こえた。すぐ戻ろうと思ったけど黒服に止められちゃって。彼は咄嗟に警察に電話してくれて、中からすごい音がしたからその場を離れようってなって。だから私……、自分だけ何もできず…逃げ…てちゃって……ッ」
は堪え切れない涙を流した。