【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
すべての仕事を片付け終えたのがやはり二十一時過ぎ。
報告書などは後回し。
最寄駅から徒歩五分の距離。
は凄惨な現場を目にして全身が震えていた。
部屋に招いてくれた憶測は色々思いつく。
舞い上がっている気持ち。
それとは裏腹に不安も大きく、押し潰されそうだ。
一度振った相手を受け入れてくれるだろうか。
一般人よりも遥かに命を落としやすい世界で働いていても。
それでも七海はもう一度手をとり、一緒にいたいと願った。
だから後先考えず体に触れ、抱き締められたんだろうと思う。
もう失敗したくない。
もう何も恐れたくない。
悔いを残したくない。
「フーッ」
目的のマンションにたどり着き、オートロック式インターフォンに部屋番号を入力。
緊張して死にそうだ。
《──…あ、七海くん。どうぞ入って》
「ありがとうございます」
TVモニター越しで七海の姿を確認したのだろう。
名乗らずとも集合玄関の扉が開いた。
エレベーターに乗り込み七階へ。
七〇二号室がの部屋だ。
玄関前のインターフォンを押し、ガチャッと戸が開いた。
「七海くん、お仕事お疲れさま。狭いけど入って」
「お邪魔します」
一番最初に襲いかかったのがの部屋の匂い。
なんだこの良い匂いは。
女性にしか醸し出せないような甘い魅惑的な香り。
スッキリと片付いた玄関。
通路の左手側にはシステムキッチンとクローゼット。
右手側には水回りに繋がると思われる二つの扉。
その奥には生活感むき出しの1Kの間取りとバルコニーに繋がると思われる白いカーテン。
「上着かける?」
「ありがとうございます」
「ごめんね。口紅付けちゃって…。あとで──」
「いえ。私がやったことお気になさらず」
「そう。どうぞ、狭いけどそこに座って」
部屋の真ん中には低いテーブル。
七海の背後に白を基調とするシングルベッドが置いてあり、薄ピンクのラグマットの上に腰を下ろした。