【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
「彼は中学時代の友達の弟くんで親しくしてて頼もしい子だよ。七海くんも既に気付いてると思うけど色々あって、今はお水の世界で働いていて……」
「聞きたいことは山ほどありますが、お怪我はされていないんですね?」
「うん。それは大丈夫」
が薄っすらと微笑むと無性にキスがしたくなった。
あの着飾った唇を貪り尽したい。
しかしすれ違った歳月があって七海はグッと抑え込む。
今すぐ好きだと伝えたい。
あの黒服は親しいようだが恋人のそれとは違う。
まだ他に相手がいるのか確認しなければ。
お互いもう、二十七歳のひとりの大人だ。
「私はこの後まだ仕事があります。終わっても二十一時を過ぎてしまうので…」
「私の家、この近くなの。携帯はあっちだし、名刺は持ってるけど書くもの今持ってなくて…。口頭でもいい?」
「ええ、構いません」
の家…と聞いてドキリとした。
やかましいほど心臓が騒ぐ。
中央区にある八階建てのマンション。
外観は黒とグレーの建物。
名称、住所、交通機関、部屋番号をきちんと教えてくれ、そこまで何とも真面目ならしいと思ったが、次の瞬間、白い上着に口紅が付いちゃったと汚れた部分をなぞってきた。
「……っ」
上目遣いを巧みに使ってきた。
今までのと明らかに違う。
歳月がを変えてしまったのか。
それともお水という夜の蝶になったばっかりに。
七海はの強烈すぎる色気にグラッときつつ、この時ばかりはサングラスしていて良かったと内心安堵した。