【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
ファイリングは分厚くて、キャストは60人程いるようだ。
の容姿は強く頭の中に残っている。
五年以上経った今でも覚えている。
七海は気持ちが焦るように手早くページを捲る。
最終結末を読み急ぐように目を通していく。
違う…
違う……
違う………
「ッ──!!!」
ページの半分過ぎたところで手が止まった。
ワインレッドの胸元を強調させた艶やかなドレス。
他人の空似ではない。
を見間違えるはずがない。
「ハーッ………ハーッ……」
「ナナミン!こういう時ってネガティブに考えちゃダメだよ。信じようよ!きっと!」
きっと…大丈夫。
年の離れた高校生に励まされ、七海は苦笑いを漏らす。
激しい動悸も眩暈も今はいったん胸のうちに。
七海は黒い蝶を持ったまま店内を出た。
遺体を早く埋葬してあげなければならない。
あるべき場所へ返してやるのが先決だ。
本部に払い終わったことを報告し、その日のうちに報告書を書き上げようと思った。
今夜は神経が高ぶって眠れそうにない。
被害者リストを早く知るために眠るわけにはいかなかった。
「虎杖くん。取り乱してしまい大変申し訳ありませんでした。引率代理なのに我ながら不甲斐ないところを見せてしまいました」
「今度あったらさ、彼女さんにちゃんと正直な気持ち言ってやんなよ。やっぱ大切な人は自分の手の届くところに居た方がいいと思うんだ。後悔したくないなら尚更、毎日顔見たいしなっ」
ニカッと白い歯を見せて笑い、二度も励まさせる。
虎杖の両親はすでに他界し、最近は育ての祖父も亡くしたと聞いていた。
大切な人は自分の手の届くところに。
「そうですね。今度あったら真っ先に──「七海…くん…?」
「!?」
ずっと探し求めていた声。
七海のサングラスの奥に見えた先に、黒服の上着を肩から羽織ったの佇む煌びやかな姿が宿った。