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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」


人を襲った呪霊はこの広い高級クラブの店内のみ。
賑わって人が多かったせいか、一人ひとり着実に生身の体を抉ったのだろう。

「ナナミン。その知り合いの人の名簿とか店のどっかにあるかも。機密事項のぞいちゃうことになるけど、病院行くより早いかもだし」

「すみません。虎杖くん……」

「いいって!どこにあっかなぁ」

この中にいなければ良いと思った。
同じ他人の死でもだけは違う。
そう割り切れなかった。
無縁の人間と同じようにしようと思ったのに。
会社にいればいるほどの存在は大きく膨らむばかり。

と同じ未来を歩む世界を何度も繰り返し想像した。
手を繋いで歩く姿。
子どもを抱いている姿。
同じベッドで朝を迎える姿。
幸せに笑う自分と微笑み返してくれる彼女。

そこに自分がいて良いものかと考えた。
あの手を二度と離さないようにしまって良いものかと。

そこにはたくさんの葛藤が生まれた。

と生きて"やり甲斐"を感じる自分。
に"必要とされて"生きる自分。

そこには確かな"生き甲斐"ってものが存在した。

「彼女は……私が一般企業に勤めていた時、同期で知り合った魅力的な女性でした」

こんな何者からも逃げている自分に相応しいのかと。
相応しい男になるにはどうしたら良いのかと。

「私には彼女が眩しすぎて応えることができなかった」

手探り状態で他にやりがいを探していた。
金のことばかりを考え、金儲けがやりがいなのかと。
実際はクソだった。

きっかけは気紛れに払った低級の呪霊。
よく通っていたパン屋の女性店員に感謝された。
そこでやりがいを感じ、同じクソならより適正のある呪術の世界に舞い戻ることを選んだ。

「あっ!ナナミン、見っけたよ。綺麗に残ってて良かったぁ。顔写真付きみたい」

「ありがとうございます。私の考え過ぎかもしれない。彼女がこういった世界に足を踏み入れるなんてのはあり得ないのに…」

誠実で真面目な彼女。

黒い蝶のバレッタだけで決めつけてはいけないのに。
ひどく動揺する自分に反吐が出そうだ。
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