【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
本格的な夜を迎えたのに銀座の街は騒然。
車で行けるところまで入り、周辺には立ち入り禁止のテープ。
緊急車両として救急車やパトカーが停車していた。
非術師には見えない帳。
三体の呪いの気配をハッキリと感じた。
「ひでえ……ッ」
「私は左側の二体をぶっ叩きに行くので、虎杖くんは右側を。くれぐれも無茶しないようにお願いします」
「応!!」
数分前まで客にボトルを貢がせていた命。
高級クラブに訪れるお金持ちの命。
影から支える従業員の命。
高級感あふれる内装も煌びやかな衣装もすべてが滅茶苦茶だった。
収拾できてない凄惨な現場をみて虎杖は一瞬顔を歪め、すぐ切り替えたように別行動を開始。
『ば…ブぅゥぅぅ』
「胸クソ悪い形様だ」
赤子のように啼く生まれて間もない呪霊だったがそれなりの呪力量。
七海は呪具を使って地面を這ってきた呪霊を一瞬で祓う。
二体目も見つけ、難なく祓い終えた。
サングラスをクイッと指で押し上げ、終わったであろう虎杖の下へ踝を返したが。
「──…!!!」
見覚えのある黒い蝶。
そんなわけあるはずがない。
はあの会社でいまも働いているはず。
店員には限定品だと言われたが一点物じゃない。
ほかに購入した客だっているはずだ。
それなのに…妙な胸騒ぎが落ち着かない。
「ナナミン、片付いた……ってどうったの?それ」
その場で動けなくなっていると虎杖が手に乗せていたものを覗き込んだ。
「黒い…蝶…?なんか思い出の──」
此処は飾り付けからみて接客する場所には見えない。
高級感はあるが鏡やドレスなどがあった。
いわゆる待機部屋のような場所。
ホールが一番凄惨だったが此処も似たようなもの。
七海は一番近くにいた、黒レースのドレスワンピースを着たうつ伏せの女性の顔を確認する。
「違う…」
その横にいる白いワンピースも同じように。
「違う……」
「ナナミン…?」
黒い蝶は不幸や不運を運んでくるのではなく、迫ってきていることを知らせてくれる予兆。
を見守ってほしくて渡したものだ。
スピリチュアルな意味の考えだが、そうであってほしくないと…また一人、確認した。