【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第38章 呪術廻戦✿七海健人「夜の蝶」
早めに出社しての席をみた。
社内にはまだ誰もいない。
無言で置いておくべきかと迷った。
自分の席についてパソコンの電源を入れ、日頃のサイクルをこなしていると一人…、また一人と社員がやって来た。
が出社して来たのは始業15分前。
今日は少し遅かった。
「ちゃん。おはよう。21歳のお誕生日おめでとう!」
「えっ。良いんですか、そんな。わあー!ありがとうございますっ!」
ニコニコとしているは誕生日を祝われて嬉しそうだ。
七海は足元にある大きめの紙袋に隠したモノに目を落とす。
完全に渡すタイミングを逃した。
迷う前に席に置いておくべきだったと後悔した。
しかし家に持って帰る気にもなれない。
なにか適当な理由を考えて渡す。
クライアントからの電話対応に追われて外回り。
昼休憩のタイミングも逃して気付けば15時過ぎ。
終業時間までに終わらなさそうだ。
「ハァ……」
諦めて自分の席につき、小休憩として目元をグッと抑える。
眼精疲労からきた頭痛が薄っすら響きはじめる。
「!…」
「七海くん、頭痛いの?」
机の脇からティーカップが鳴ったような音。
やや苦みのあるさっぱりとしたハーブティーの香り。
控えめの薄ピンク色の整えられた爪の先からのぼって行くと、が心配そうな顔で覗き込んでいた。
「良かったら飲んで。って言ってもコレ、今日先輩から貰ったものなんだけど有効活用しようと思って。頭痛にも効くらしいから飲んでみて」
「私は実験体ですか…」
「私はチョコレートがお勧めなので、こちらをどうぞ」
ティーカップの横に並べられた三つのチロルチョコ。
懐かしいものから初めてみるデザインのものまで。
はこれが一番オススメだと指を差した。
固まっていた頬の筋肉が解されていく。
「ありがとうございます」
が来てくれたことに一番の癒しを感じた。