【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第37章 呪術廻戦✿夏油傑「呪われた谷間」
そこには三人の動くものたちがいた。
南国気分で読書をしている継ぎ接ぎだらけの青年。
その先には火山頭で単眼の呪霊と思わしき存在と、頭部から2本の角のような樹木がある呪霊と思わしき存在が座っていた。
「驚かなくていい。彼らは君に害をなさない」
が怯えて引く前に傑は優しく声をかけた。
味方の呪いなんてこの世にあるのだろうか…?
と疑問に思ったが、は傑を信じることにしてドアを閉じた。
『なんじゃあ?人間の女なんぞ連れてきおって』
火山頭が喋った。
続いて、継ぎ接ぎの青年が興味津々に目の前まで走ってきた。
『わあ~人間の女の子だぁ!君、可愛いねっ。名前は?俺は真人っ』
「です…。はじめまして……」
人懐っこく喋ってきた真人に応えようと、小さな声だが聞こえる大きさで精一杯挨拶した。近寄ってきた真人はフードコートの下に隠れた膨らみに気付き、凝視した。
『おっぱい……』
「真人、いま触ったら消されるよ。正確には封印される……というべきか。は人間・呪霊問わず封印できる器のような特異体質だ」
『あぁ゛?貴様と同じ式神使い…ではないか。封印できるだけの代物なのか?胸を触る事だけが発動条件なのか?そのおっぱいを何に使う?詳しく説明しろ』
「実は私も暗中模索なんだ。ただひとつ言えることは入り口はおっぱいの谷間、出口はこれから探すところさ。ある程度は見当がついてるけどね」
『フンッ…解せんな』
ものすごく言葉が達者な生き物だ。
は小柄な火山頭から沸々と煮え滾っている頭部に注目した。
頭に火山。
人間には見えない大きな目ん玉。
どっからどう見ても…。
『儂は見せもんじゃないぞ。煩わしい』
『漏瑚はおっぱいに照れてるんだね!おっぱい!おーっぱい!』
『ふざけるなよ、小童ァ!!』
「あっちに行こうか」
「は…はい…」
なんて賑やかなんだろうとは思った。
傑は顔色も変えることなく指を差した方向に歩き進める。
どこまでも広がる海と砂浜。
海へ来たのは何年振りだろう。
少し離れたところまでやって来ると静かなさざ波だけ。
傑はそこに座るように言って、真新しい黒いビーチボートの上に腰を下ろした。