【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第36章 呪術廻戦✿五条悟「飴玉みたいな瞳」
口のなかがドップリ、血の味がした。
「……か はァッ」
四足歩行の化け物の尻から数本の尻尾がうごめいていた。
あれが人の体を貫通する正体。
ドリルのような鋭いものを先端にぶら下げて大量殺戮を行っていた。
は伸びた尻尾を掴むと化け物は驚いて、ゆっくりとこちらに目玉を向けてきた。
『アー』
「気色悪い格好しやがって」
『触らレるの、嫌い!!!』
「……知らないよ」
地響きのような雄叫びをあげ、に目掛けて猛然と駆けだす。
──…この瞬間、死を予感した。
途轍もなく素早い気がするのにスローモーションのようにゆっくりと四肢が動いて、壇上に飛び掛かってくる様子が目に浮かぶ。
大量に出血して、意識が遠退いてもおかしくないハズなのに手指に力が入った。
踏ん張る足腰まであるときた。
動ける。
だが不思議と逃げる余力はない。
かわりに訳の分からない内側から燃え滾った憤りを感じ、己自身が最高潮の気分になった。
「─── 」
が白目をむくと同時に、掴んだところから血が噴き出し、内側からボコボコと壊れていく化け物。
の体が真っ逆さまに壇上から落ちていく寸前、現場に駆けつけた五条がの体をしっかり受け止めた。
「っと。間一髪……ではないっか。それよりもこの子…」
薄っすらと残穢を感知した。拾い上げた少女の腹部には大きくあいた風穴。背骨や腹部の大動脈を損傷している位置なのにまだ微かに息があった。
「この子は死なせるわけにはいかない。高専に早く戻ろう」
呪力を宿した人間の価値は高い。
それに不特定多数を殺戮した呪霊は準一級相当だった。
高専に戻った五条は医師である家入硝子の反転術式によって治療を受けさせたが、家入の口から「こいつの臓器は呪いの塊だ」と不可解なことを発した。
「つまりどういう事?この子は呪霊じゃない。見た目は普通の女の子だ」
「臓器っていうより細胞単位で低級呪霊、そのほか呪いの魂を宿している。とっくに呪霊に化けててもおかしくない状態だ。こいつの心臓、何度か止まった形跡があった」