【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」
晴れてとお付き合いすることになり、真っ先に祖母に報告した。隣りでお喋りする穏やかな時間も過ごしながら、着実に男女の仲を深めていった。
免許を取得しても期末はまだ終わってないから、広い田んぼを散歩がてらにぐるりと回った。緑の葉っぱが成長して稲の皮が開いて、花粉を飛び散らせる。梅雨前線の長雨の被害を受けて日照不足も心配されたが、稲穂はすくすく重みをもって強く成長していってくれた。
「もうすぐ一面、黄金畑になるんだね」
「今年はいい米が収穫できそうや」
雑草のところに腰を掛けて田んぼを眺める。人や車の物音は聞こえない。鳴っているのは蟲たちの聲。心地よい風に吹かれて自然欲に浸っていると、が信介の手の甲に手のひらを重ねてきた。
自然に見つめ合って顔が近付くと互いの麦わら帽子がずり上がった。気を取り直して、信介はの麦わら帽子だけ片手で支えて、はじめて唇を重ね合わせた。
「さんの唇、柔らかいな」
「北くんも」
「もう一回させて」
地面に重なり合った指を絡ませる。お日様の日光も熱かったけど、と付け合わせている顔のまわりの方が熱かった。キスしたらお互い喉渇いてることが分かって、水飲んで、またキスをした。はじめて同士なのにも同じくらい求めてきてくれて、たまらないほど甘い時間だった。
──信介は自分の性欲が思った以上に強いことに悩まされた。最初のうちは軽いキス。でも段々と一回キスしたら止まらなくなって、唇を舐めて、優しく噛んで、強く抱きしめて口の奥に進んだりした。
も同じくらい感じてくれたから念のため常にポケットにいれていた避妊具を使った。稲刈りがはじまる時期だった。黄金色の田んぼを横目にしながら、乱れたの綺麗な体を貪った。
「。ちゃんと大切にする」
「うん」
「大好きやで」
「私も……っ──」
学校でも外でも人目を盗んでキスをして、初体験したのは古びた小屋のなかだった。信介は猛烈に反省すべき場所だと思った。抱き締めた時のが可愛すぎて開放的になり過ぎた。ちゃんとした場所でしようと思ったのに、こんな汚い場所でするなんて。しかも誰かに見られてもおかしくない野外。
信介はこの古びた小屋に用事があるたびに思い出した。