【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」
信介は手を伸ばす勇気がなくて同じように微笑み返す。信介の家に到着すると会えるのを楽しみにしていた祖母が出迎えてくれて、お茶を飲みながらがお礼に買った洒落れた洋菓子を食べた。
祖母は仕事があるからと席を外し、にっこり笑って気を利かせてくれた。
「話に聞いてた通りとっても優しいおばあちゃんだね」
「ばあちゃんには今でも色んなこと教えてもらっとる。ばあちゃんがいなかったら多分、俺は挫折した人生を歩んでたと思う。バレーも勉強も掃除も全部中途半端で、ちゃんとした事ができない人間になってたと思う」
「私もおじいちゃんに叱られなかったら、いつまでもちゃんとお箸持てなかったし、好き嫌いもいっぱいしてたと思う」
「じいちゃん。厳しかったんか?」
「昔はね。私は断片的な記憶しか残ってないんだけど、行儀がなってないって真冬の外に放り出されたこともあるんだって。今は孫好きなおじいちゃんになっちゃったけど、それ聞いたときは流石に嘘でしょって驚いちゃった」
「ほんま想像できへんけど、さんの小さい頃はお転婆娘やったんやな」
小さい頃のの話しが聞けて嬉しくなって笑みが溢れる。箸の持ち方は祖父から教わったのか。好き嫌いしないで残さず食べるのは祖父から教わったのかって、泣きべそ掻いた小さなを想像してしまった。
「あっ、ねえ北くん」
「なに?」
「よかったら小さい頃の写真、見たいなって」
言いにくいことでもあったのかと思ったが、幼少期の話しをしたらも小さい頃の写真が見たくなったらしい。折角うちにいるんだし、「構わんよ」といって家族写真や卒業アルバム、卒業文集など一緒に引っ張り出した。
「うわ~っ、可愛い。小さい北くんだぁ」
「幼稚園児やしな」
「あ。このブロック、私の幼稚園にもあったのと同じだ。懐かしい~」
「ほんま? これで車作ってよう遊んでたわ」
幼稚園で流行った遊びとか集めてた物とか、感動したものとか、はじめての肝試しがすごく恐かったとか、思い出ばなしにいくらでも花が咲く。
夕飯前になって祖母に部屋の戸を叩かれた。その時、途中から見なくなった針がいつの間にかぐるりと回っていた。