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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」


今までと喋っていても邪魔する奴なんていなかった。緊張しなくていいのに妙な胸騒ぎがする。

「和菓子が好きって聞いて、ばあちゃんが作った桜餅を持ってきたんや」

「そういや前からちょいちょい話してたな」

また邪魔な奴が増えた。

「俺もずっと気になっとった。もっとお堅いやつかと思ったけど、北も恋人にはデレデレやな~」

最初に話し掛けてきたクラスメイトが馴れ馴れしく肩に手を置いてきた。こういうノリは苦手だ。恋愛の話題になるとクラスメイトの連中がこっちの話しに耳を傾けたのが空気を察して分かった。

敢えて口にしたくなかったけど、この場を制圧するにはこうするしかない。

「そういう関係やない」

「えっ、だってお似合いやん」

「…もう一回言わんとあかんか?」

これ以上、否定させんでくれ、聞かんでくれ、踏み込んでくんなや、勘弁してくれ。信介は無言のプレッシャーを与えた。

これまで間違ったことはしていない。友達として大事なのは本当だ。隣りの席になって男と女が話すことに勝手な想像を植え付けないでほしい。

人前だったから茶化されるのも想定すべきだった。でもそこでしか話せるキッカケがなかった。挨拶からはじまって話題を振って、なるべく自然に振舞っていたのにこいつ等の何気ない興味のせいで……これまでの過程が全部、水の泡になるかも知れない。クラスメイトは信介の強い圧に踝を返し、誰にも聞こえないように長い息を吐いた。

「……桜餅、ありがとね」

「なんも……。ばあちゃんも美味そうに食べてくれたって言ったら喜ぶと思う」

さっきまで上手く喋れたのに固くなっているのが嫌でも分かる。から話してくれたのに。信介はとことん恋愛に臆病な自分に腹が立った。

ちゃんと恋愛したいのに。ちゃんとしたって周りに茶化されたら──。

「おばあちゃんに直接お礼言いたいな……なんて。北くんのおばあちゃんの、好きな食べ物わかる?」

「えっ……ああ、えっと。この前ばあちゃんと一緒にみた番組で──」

幻聴かと思った。自分らしくないほど激しく動揺して言葉に詰まった。祖母に直接お礼を言いたいって、それはつまり家に来たいってことで解釈して間違いないのだろうか。

また勝手に諦めようとした自分が恥ずかしくなった。
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