【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」
次の日、はちゃんと学校に来てくれた。教室で姿を見つけて安心する自分がいる。
「おはよう。これ食べてほしくて朝一番に作ったんや」
「開けていい?」
信介は頷いて、は中身の見えないラッピングを丁寧に解いた。は分かりやすく目を輝かせて、嬉しそうに目もとを細めた。
「美味しそう。これ、北くんが作ってくれたの?」
「ばあちゃんが作ってくれた方が美味いけど、俺が作っても味はそんなに落ちんと思う」
「ふふ。北くんが作ってくれて私はもっと嬉しいよ。毎日、部活動で忙しいのにありがとう。いただきます」
は葉っぱが付いたまま桜餅にかぶり付いた。好みが別れるところだが、も桜の葉っぱを食べる習慣らしい。食の好みがあって信介は内心喜んだ。
「その葉っぱ、うちで付けたものなんや」
「えっ、そうなの? 桜餅も餡子も甘くて美味しくて、桜の葉っぱはしょっぱくて春の香りがするから一緒に食べないともったいないよね。あっ……貧乏性だったかな」
人前で食べる、食べないと気にするのは別にいい。だけど一々いちゃもん付けてくるのは理不尽だと感じていた。はきっと、誰かに言われた節があるんだろう。
信介はそんな不安な顔しなくてもと思いつつ、ちゃんと受け止めてるつもりで柔らかな表情をみせた。
「俺もちゃんと桜の葉っぱは食べるし、調理法によっては魚の皮も食べる。飾りのパセリも俺は食べる。そういう風に育って、それが食材への礼儀かと思ってたから気にせんでええと思う」
「あ、じゃあ……エビフライの尻尾は食べる?」
「もちろん。けど、生の尻尾とブラックタイガーのあのごつい尻尾はさすがに手を付けようとは思わん」
「それわかる」
どうやらと食べ方が似ているらしい。桜餅に加えて、新たな発見ができて信介の胸はほっこり温かくなる。そんな邪魔してほしくない空気のなかに、クラスの男子がが口にしているものに目を付けてきた。
「なんか美味そうなの食っとるね。二人でなに話しとるん?」