【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」
信介が祖母と掃除をしている時だった。
「信ちゃん。ばあちゃんに困ったことあったら話してみ」
来る日も来る日も解決策が見つからなかった。気になるあの子とどうなりたいか、隣りのクラスから昇格してその後どうなりたいのか過程も結果が見えてこなかった。
「ずっと……胸ん中に同じ女の子がいて。隣りのクラスの女子で話したこともない。けどその子には好きな男がおんねん」
「信ちゃんはその子に惚れてしもうたんやな」
「彼女の好きな男と俺はルックスも性格も才能も真逆や。背が高くて格好ええし、よく笑う。おまけにまだ1年やのにレギュラーに入るって話も聞いた。それなのに彼女のことが頭から離れへん。失恋したも同然なのにずっとへばり付いて離れんのや」
彼女が他の男を好きだと知った瞬間、大きな壁にぶち当たった。それまでは普通に追いかけていれたのに別の異性が割り込んできた。この表現は間違っているが信介にとって、それくらい衝撃的出来事だった。
「その子が男の子とくっ付いたわけやないんやろ?」
「でもいずれくっ付く。昨日も放課後話してるのみた。楽しそうに笑ってた。何回もフェンス越しに顔出してるんや。気付かん方がおかしい」
部活が早く終わった日には定番のように目にする光景。男は野球帽をかぶって、泥だらけの格好でも爽やかで彼女はそんな男をみて頬を赤らめる。彼女の好意は明らかだ。わざわざ出向いていて他になんの理由があるのだ。
「近くと遠く、見るもん感じるもんは同じやない。信ちゃんはその子をよう見とるかもしれん。もっとちゃんと見て、決断を早まらんことや」
祖母はバレーの試合の話しでもしてるんだろうかと思ってしまった。近くのボール、飛んでいったボール、もっとちゃんと見て、コートに落ちたところまで見ないとあかんよと言うように。
信介はそれはそうだと思った。あの男の方がセットポイントが上かもしれない。けれどまだ試合は終わってない。スタメンにさえ入ってないけど来るときは来る。名前も知らない彼女と才能のある男がはじまるのが先か、平凡な自分と彼女が挨拶するのが先か……決着つけるにはまだ早すぎる。