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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第35章 ハイキュー✿北信介「ちゃんと、隣りに。」


朝練行って教室戻って、廊下を出たときにを偶然見つけて息を呑んだ。

あの時の子や──は友達と話すので夢中で気付いていなかったが、控えめに微笑んでいる彼女をみて信介は胸の高鳴りを覚えはじめた。

このとき玉拾いの可愛い子という認識だったが、もう一度目の前にして彼女の存在が日に日に成長していく。寝ても覚めても心に残っていて今までにない経験だった。隣りのクラスにいて、仲良くしている女子の名前はたまたま聞こえたから覚えてしまったが、信介はの名前も苗字も知らない。玉拾いの彼女に名前を付けてあげたい。どうしても彼女の名前が知りたくなって、過去にもらったプリントの類を漁った。

隣りのクラスなのに名前すら簡単に知ることができない。すごくもどかしかった。隣のクラスに入って教卓にある席順表を見に行くわけにも行かず、気持ちばかりが焦る。それでも次の日もちゃんと朝練やって隣りのクラスをみたら、は学校に早くくる子だと分かった。

焦らんでもええ。

玉拾いの子はあそこの席に座ってる。鞄に友達とお揃いのキーホルダーをつけて友達思いのええ子。制服も崩さずちゃんと着ている真面目なええ子。見るたんびに笑っている性格が穏やかなええ子。遠くから見ていても彼女を知り得る情報はたくさんあった。彼女が誰を目で追っかけているかも知って、なんも始まってもないのに胸が苦しくなって、一人で傷ついて泣きそうになった。

「俺、あの子とどうなりたいんや……」

寝ても覚めても心に残っている名前の知らないええ子。名前を知ってその後どうする。名前呼ぶんか? 挨拶するんか? できないやろ。ちゃんとしてても、その過程に彼女はいない。どう過程を捻じ込むんや。

「おはよう」ってただの何気ない挨拶でも、時間帯が合わないから急に声掛けたらそりゃ驚かせてしまう。そんで。そのあとは? 挨拶するだけええんか? 北信介です、隣りのクラスです、バレー部です、ちゃんと自己紹介していってどうするんや。あの子と隣りのクラス以上になりたい。けど何に? 自分の存在認識させて、──なんになりたいんや。
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