【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第34章 ハイキュー✿松川一静「ワンナイトラブ」
モダンな喫茶店。
落ち着いたクラシック音楽。
濃いめの珈琲を片手にスマホを弄る。
周りをちらっと目にやったけど、俺のように携帯いじったり、本を読んだり、パソコンいじったり、なんか斜め向いて思い耽ったりしてて、一人の時間を楽しんでいる人が多かった。
「ねむ……」
くわっと大きな口を開けて欠伸をする。
背筋を伸ばしてリラックスして、携帯に再び目を戻そうと思ったら…頬杖ついてる女と目が合った。
(……なんかムッチャ睨まれてるー……)
眉間に皺は寄ってないが、真顔の女が鋭い眼光を光らせている。
外見年齢は25前後だと予想。
肩を部分出しした色っぽい肩開きニット。
濃いメイクをしてるけど美人な部類だと思う。
(けど、初対面相手にあんなに睨むかな。フツー…)
目を離すのもなんか負けた気がするから見続けてやった。
たぶん10秒くらい見つめ合ってたのかな。
そしたら女がテーブルに手をついて立ち上がり、ヒールの音を鳴らしてこっちに来た。
歩き方がキレーだった。
見た目もそうだけどやっぱり姿勢とか見ちゃうわけで。
普段から学校とか街中で、気付かれない風に女の立ち姿とか歩き方をみて、見た目が好みでも歩き方で「ねえな」と思うことはたまにある。
「ねえ。一緒して良いかしら…?」
「………どうぞ」
それが目の前に来てドキッとする。
高くもなく低くもない声質。
落ち着いた印象があって大人な色を感じる。
目の前に座った女の人の匂いがふわりと鼻先をかすめる。
もっと傍に寄って嗅ぎたい上品で好みの香り。
匂いの正体は分からないがそそる匂い。
(……なに話せばいいのか分かんねえな……)
目の前に座られたけどこれはこれで予想外だった。
なんで目ェ付けられたのかも未だに分かっちゃいない俺は、下手なところ見せたくなくて女の人の出方を伺った。