【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第34章 ハイキュー✿松川一静「ワンナイトラブ」
前作。花巻がめでたく童貞を卒業した。
当の本人はラブホしか語ってないつもりだろうが、俺は花巻が童貞だったのは見抜いていた。けれどラブホの話を聞く限り、というか潤った肌をみたら童貞脱したってことは一発で分かった。
「まさか誕おめで卒業とは。予想が外れたなー」
部活を引退し、大学入試も終え、家の中で携帯を弄ってぼんやりと過ごす。
あと学校に顔出すっつったら卒業式の予行練習と本番くらい。
気付いたらバレンタインとやらも終わっていて、家の中にいるのも厭きてブラブラと街中まで行ってみることにした。
「寒ンみ……」
コートとマフラーをしっかりしてきたつもりだが、風があたる鼻や耳んとこが寒い。
手袋をしていない手をポケットに突っ込んでとぼとぼ歩く。
……彼女…、ねぇ…
前を歩くカップル連れ。
仲良さそうに腕なんか組んじゃって微笑ましい。
……女かぁ…
今すぐ彼女が欲しいってわけでもない。
セックス目的に彼女作るのもどうかと思うし。
ただ異性の身体に触ってみたいっていう興味はある。
しかし、女が寄ってくる魅力もなければ口説くスキルもない。
老け顔とはいえ、未成年者が風俗とかバーに足を踏み分けるわけにも行かず。
卒業間近に親に迷惑かけて停学・退学処分なんて馬鹿馬鹿しい。
「眠みィ……」
寒くて眠気が出てきた。
街中に到着してからショップに入ったりして、暖房の効いた屋内で時間を潰す。
欲しいものがあったけど金そんなにねえし。
商品棚にものを戻す。
気付いたら大分時間を潰せたようで日が暮れ始めていた。
「喉渇いたなー…」
自販機で買おうかと思ったが、珈琲のいい香りがして喫茶店のほうに目をやる。
「ふーん…。ちょっと大人っぽいことしてみよっかな」
喫茶店とか無縁。
部活仲間や友達と行くのはラーメン屋とかフード店とかそんなところ。
ガラス越しに見てみたら入りやすそうな雰囲気だったので、匂いに誘われるように扉を開けたのだった。