【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第7章 名探偵コナン✿怪盗キッド「化粧室」
女子トイレの個室に二人きり。この異様な空間にわずかな沈黙が流れる。怪盗キッドの予告時間までおよそ3時間…、まだ顔の熱が引かないため、顔を向けることはできない。
耳に残った吐息、腕を掴まれた感触が生々しく残り、平静を装った声を保つことに集中させる。
「………私に…話しって、何ですか…」
「今夜は月明りが美しい……。しかし、有能なあなたが大人しく攫われてくれる保証もありませんでしたので…今回はこの場でお許しください」
穏やかな口調で丁寧に話す怪盗キッド。視線を持ち上げると、壁にもたれ掛かったキッドと目が合いフッと笑みを向けて迫ってくる。
「…ぁ…の……」
ようやく真正面を切ってキッドをの話を聞こうと思えば、少し離れた距離はまた縮められ…トンッと頭の上に腕をつかれてしまう。
間近に甘いマスクが映り込み、顎に手を添えられ逃げ場を失った。
「私の瞳は囚われている……。きっとあなたも同じはずだ」
「~~~」
真っ直ぐ過ぎるほど見詰められ、は目を泳がせる。極限の恥ずかしさでまともに見ることもできず、刑事としてではなく、一人の女性に戻ったように目頭を熱くさせた。
「あなたに初めてお会いした時、魅せられてしまった。一目惚れってやつです」
「ッ……な、……なんで…」
「一目惚れの理屈は後付けされるもの。ですから、私の目が節穴でなければ、あなたの遺伝子は私に強く反応したはずだ」
好きになる理由なんていらない──。
そう言われて、抑えていた感情がより一層強まっていく。身体中に電撃が走って忘れられないくらい頭も心の中を何度も搔き乱すほどに。