【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第32章 黒子のバスケ✿今吉翔一「道ならぬ」
待ち合わせ場所に少し早く到着すると、今吉がすでに待っていた。今さっき来たとこ、なんて優しく述べられ、早速文化祭で必要なものを下調べしに行った。
「ここってホント安いよね。これで良いんじゃないかなぁ」
「ここもええけど、もう一軒見に行かへん?ちょっと歩くけど気になるところがあるんや」
「そうね。予算はなるべく浮かせたいし」
街をブラブラ歩いていると、今吉は人懐っこく「アレ知っとる?」「コレ知っとる?」と話し掛けてくる。表情は板に張りついた笑みを浮かべており、正直言って腹の内が全く読めない。
最初見たときは苦手な層を感じたが、身近にはいない関西弁を喋り、向こうが話し上手ということもあって打ち解けることができたようなもの。たぶん生徒会に入らなかったら、一生縁のなかった同級生だろう。
買う場所も見当がついて店を出ると、強い雨風が吹き荒れていた。
「うわぁ…。ひっどい雨」
「夕方から荒れると思ってたんやけど、これじゃあ傘さしても無意味やのぉ。とりあえず雨弱まるまで昼飯でも食べて雨しのぎせえへん?」
「うん。賛成」
近くのフードコートでお腹を満たし、しばらく経っても窓に打ちつける窓ガラスを見つめる。
「全然弱まらへんな…気象予報も当てにならんし。濡れるの覚悟で駅まで走る?駅から家、近いんやろ?」
「私はそうだけど今吉は寮でしょ?あそこから走っても距離あるじゃない」
「ワシのこと心配してくれるん?感激やわぁ」
「別に…。大会も控えてるんだし、それこそ風邪引いたら恥ずかしいでしょ。久しぶりに今井と話せて嬉しかったし…。風邪引いても良いんなら走って帰るけど」
「そんなこと言われたら帰したくないわぁ。ほんならちゃんの人生相談でも…」
「いま少し雨弱まったかなぁ~」
「え~」
ワザとらしく帰るフリをすると今吉の眉毛が八の字になって、困った顔になる。
今吉の腹の内はどう思っているか不明だが、は今吉と一緒にいる空気を居心地よく感じていた。