【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第30章 ハイキュー✿宮侑✖宮治「狐に化かされた」
表側はチラホラ人がいたのに、裏側には人影もない。
(……涼しい、けど……)
裏手のさらに奥には、林の細い道が通っている。
立ち入り禁止の看板やロープはない。
まだ明るいのに何故だか物騒な雰囲気を感じ取ってしまい、地に着く足は──行ってはダメ!!…と本能が訴えかけてきた。
「ぁ…の…、ここまで入って平気なの…?」
「「…もっと奥…行ってみよ…?」」
「っえ……で、でもっ──」
掴まれていたその手は、離すことができない。
嫌な予感がしているのに…。
「ま、待って。二人ともなんか、、」
侑「もう少し付きおうて言うとるやろ」
治「なんもなかったらすぐ帰るから」
「「……な?」」
命令、あるいは呼びかけるように「な?」と声を合わせて言われてしまい、逃げようとした気持ちが押し殺される。
少しだけなら…。
そう思った。
「……わ…分かった」
手を引かれて一歩一歩、奥へ進む。
ぶわ、っと林の中を抜ける風…。
階段をのぼり、見えてきたのは石造りの鳥居。
両脇にはお稲荷さんの石像。
一番奥にあるのは社殿。
「すごい雰囲気あるところだね……。怖い…」
侑「大丈夫やて。一人でいた方がもっと怖いことなるで?」
「え、…待って。ちょッ……っ」
双子は無遠慮に進み、社殿の扉に手をかけた。
ギギッと木の音が鳴って薄暗さと湿気た匂い…。
鼻を覆いたかったけど両手が塞がれて何もできない。
……こわい……
全身に悪寒戦慄した。
頭は正常に働いていて後退りたかったのだが、恐怖で足が竦んでおり…気が付くと、放り投げられていて地面に両手を付いている自分。
「!!───…」
後ろに目をやると、見下ろす双子の兄弟は…今までの人生のなかで見たことがない微笑み方をしていた。