【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第30章 ハイキュー✿宮侑✖宮治「狐に化かされた」
顔は見栄えが良いほど整っている。元気だったらさぞかし興奮していただろうけど、今やそんな余力は微塵もない。
「そうそうアンタ。お先真っ暗な顔して突っ立てたようやけど、もしかして……身ぐるみ剥がされたん?」
金髪の男の子が立て続けにしゃべってきて、困っている状況を察してくれている。
相手が異性ということもあって些か迷ったが…助けてくれることを期待して「そうです…」と小さく頷く。
すると金髪の男の子は爽やかな笑顔を零して…。
「ほんまに!?俺の勝ちやん…!」
「そもそもおんなじ方に賭けて、賭けなってへんやろ」
「あは。ほんまや…!」
(……木の下に早く移動したい……)
爽やかで涼しげな笑いも、今は必要ない。
今もっとも欲しいのは水と日陰。
銀髪の男の子が手に持っている飲みかけの炭酸飲料水が、めちゃくちゃオアシスにみえる。
それとも、後ろの川に飛び込んだら本当のオアシスに行けるのではなかろうか…。いやそれは冗談。目立つ行為は避けたい。
ぐぅぅぅ~…
「…ん?おまえさっき食ったばっかやろ」
「俺ちゃうわ。こっちの腹の虫やわ」
「………」
きゅるきゅるる~…
「おねえさん、バリエーション豊富やなあ…。ほかにどんなん鳴らせるん?」
…ぐ……ぐごぉ゛ぉ゛ぉ゛~…
「ぶははははっ!!」
「あははははっ!!」
「、、、」
もう鳴らさないとお腹のあたりを踏ん張っていたが、まったく意味をなさず…お腹のなかで地響きが轟いた。
恥ずかし過ぎて死にたいっ…、二度と顔を合わせたくないっ…とはお腹を押さえて強行手段。
「「おねえさんサイッコー!気に入ったわ…!!」」
「っ…え」
腹を抱えて笑い終えた金髪と銀髪は、声も動きも揃えての肩に腕を回し、食べ物屋さんのある方へ歩き出した。