【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第30章 ハイキュー✿宮侑✖宮治「狐に化かされた」
今年の春から大学生となり、サークルで仲良くなった女友達とともに夏季休暇で兵庫県へ女子旅に来ていた。
「やば…。鞄もケータイもない……」
持ち物どころか所持金ゼロ。
衣服はノースリとロングスカート。その他装備品は日よけの帽子、売っても大した金額にはならないピアスとネックレス、腰に巻いていた薄手のカーディガン、動きやすい靴。
そして…これが最後の食料になるかもしれない、ポケットに入っていた友達からもらったきんかんのど飴。
「どうしよう…。土地勘もない私にどう生き延びろと!?」
川沿いの情緒あふれる街並みが炎天下で歪んで、もはや地獄にしか見えない。
人はいるけど人見知りな性格で話し掛けられず…。
「……よし。ここはまず動かず冷静に待ってみよう。きっと皆なら気付いてくれるはず……!」
見晴らしの良いこの川沿いなら友達が見つけてくれるかもしれないと思い、ぽつんと一人で佇んでみた。
…10分経過…
…30分経過…
…1時間経過…
(くそうっ、誰も来ないよ……!!)
歩いて帰るにしろ右も左も分からない。
地図ももちろん読めない。
宿泊先の名前…住所…、行き先…、自分の携帯番号…、友達の番号…こうゆう時に限って何も覚えちゃいない。
実家の電話番号は覚えているけど、ここからじゃ遠すぎる。
「このままでは日が暮れてしまう……」
日よけの帽子とカーディガンで照りつける猛暑を耐えていたがヒットポイントも残りわずか。
喉カラカラ…水を欲している…。
「なア、そこのおねえさん」
「………へ、…わたひ…?」
日陰のある木のしたで休憩しようと思った矢先、金髪と銀髪で頭の分け目と色が違う、顔だけでは見分けがつかない2人の男の子に声をかけられた。