【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第27章 ハイキュー✿国見英「ねごと」
俺は冷めきった頭で立ち上がって、縛れそうなものを目で追うと制服のネクタイが目に入った。
「これでいっか」
「え……。な…に……」
「ジッとしてて?」
逃がしたくないから優しく声をかけた。
手首の内側を付け合わせて、まだ困惑した表情を残す。
ネクタイを手首に巻き付けて、数年前くらいに動画でみて覚えた実用性がないと思ってた知識。
「何かの役に立つと思って覚えておいてよかった」
「え?…え?……え??」
は言われたとおりにジッとしている。
あんなことを口にしてもまだ、俺を信じていてくれているのか。
長年の幼馴染っていう絆が良いのか悪いのか…、こんなところで発揮されなくていいのに。
「意外と簡単だね。すごく似合ってる」
「…え。…なに……なんでこんなこと……」
怯えもあるはずなのに無抵抗に縛られてバカな奴。
いまだに俺の顔をみて信じられ無さそうにしている。
どんだけ俺は論外なんだよ。
「なんでこんなこと?…決まってるだろ。この関係を終わらすためだ」
「…え?……なんで……?なんでそんなこと言うの…?」
「さっきも言っただろ。何回も言わせんなよ」
好きだ。
言えるわけねえ。
大好きだ。
もう苦しみたくねえんだ。
「大っ嫌いなんだよ…、おまえなんて」
「…、」
感情が揺らいで、の瞳が震えている。
あのとき、俺が影山の名前を聞いて、心が壊れそうになったみたいにひどい顔をしている。
「……なんで?…なんで、急に…そんなこと言うの……?」
そんなこと言わなくたって解れよ。
俺はさんざんひどい目に合ったんだぞ。
それくらい自分で考えろって、黒く煮えたぎった気持ちがドロドロと溢れ出す。
「…口で言わなくても分かるよう教えてやるよ。大きい声…出したら分かってるよな…?」
下の階には俺の家族がいる。
は大きく揺らした瞳を持ち上げて、食われる可愛い小動物みたいに目だけで訴えてくる。
ゾクゾクする。
これからイケナイことをすんだと思ったら。
と一緒に闇に堕ちることができると思ったら。
脅しはもう必要ない。