【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第24章 僕のヒーローアカデミア✿ホークス「片翼のビスケット」
露わになった果実にかぶり付こうと思ったが、俺の敏感な視覚や聴覚が微々たる合図をキャッチする。
「なァ、」
「………な……なに?」
誰にも聞こえないようにに耳打ちをする。
それを聞いた途端、は窮屈なところから光を見つけたように瞳の奥を瞬かせて、目頭に薄っすらと涙を浮かべる。こいつは上から本当のことを聞かされちゃいないだろうけど、自分自身の身体のことは肌身で感じているはずだ。
たぶんこれが最後になるかも知れないと…。
「できるだけ抵抗受けないように羽を縮めていてくれよ。あとは…俺の出せる最高速度で──」
俺はこの日のために我慢して我慢して我慢して…、お利口さんにしていたから上から信頼されている。
監視カメラや盗聴器の隙を見計らって、としっかり手を繋ぐ。…大丈夫…、そう笑いかけて安心させる。
俺の速度には誰も追いつけない。パワーはないけど速度だけは誰にも負けないっていう自信がある。競うもんじゃないけど、を想う気持ちも誰にも負けない。
小さな窓だけが外の世界と繋がり、真っ白な壁の部屋から抜け出し、廊下を最高速度で駆けて、大窓から外の世界へと一気に飛び出す。
「うわあ~……!!出ちゃった。外に…」
「、どこもぶつけてない?……あァ、やっぱ鳴っちゃうのね。警報機……」
上に掛け合ったところで絶対に許可なんてしてくれない。俺たちにどんな事情があろうと、身の安全がどうのとか言って…。
「すみませんね~、俺にもついに反抗期が来ちゃったみたいで。んじゃ、ちょっくら恋の逃避行に行ってきます…!明日の朝には帰ってきますから今日は見逃してください」
置手紙も残してきたし、大丈夫だろう。
第一、俺がに無理をさせるわけがない。ただ…後悔だけはしたくなかった。重くのしかかった両腕にもしっかり握り返しており、夕日の空を飛んでいった。