【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第24章 僕のヒーローアカデミア✿ホークス「片翼のビスケット」
夢の中に出てきたあいつ…。
とはじめて出会ったのは中坊のとき。初対面の記憶だけでなく、と過ごした時間は昨日のことのように鮮明に残っている。
「なぁオイ。どうして片っぽしか羽が生えてねえんだァ?」
「天使みてえな羽しやがってよぉ。飛べない天使っていうやつか?」
「俺ら優しい人間様が、これからも人間界に居らるよう…もう片っぽの羽ばもいでやるばい」
「や、やめ…っ」
(うわあァ…。女の子ひとり相手に男三人がかりかよ……。見ちゃいらんねえ)
街中のど真ん中で絡まれている真っ白な少女。たぶん年齢は俺と同じくらい。真昼に照らされたそれは白銀のようにキラキラ光り、羽毛のような気持ち良さそうな羽を左側だけに生やして、たぶん俺らよりも年上の学生に囲まれている。
──…なのにみんな見て見ぬ振り。
「おーい、そこのお兄さん方。俺の連れになにしちゃってくれてんのー」
「あ゛ァ?!」
「ンだてめえ?!」
「おーコワ。ここは穏便にさ、俺の羽に免じてどっかに消えてくんね?」
「やんのかゴラァ!ぼっこぼこにしちゃあ!!」
「───」
気さくな顔をして毒づいたホークスに対し、相手は数人がかりで拳を振り下ろして来たものだから自衛とみなし、サクッと個性の羽を操って片付ける。
「暴力はんたーい。……大丈夫?何枚か羽やられちゃったみたいだけど」
「ぁ………ぅん」
「…?」
地面には無数の羽が散らばっており、少女は大事なものを拾うかのように集めている。そんな姿を不思議に思いながらホークスは1枚1枚の羽を巧みに操り、あっという間に拾い上げた。
「ほい。これで全部だと思うけど」
「ぁ………ぁりがとぅ…」
(長い睫毛さえも白いのか…。なんつーか可愛いとか綺麗つー表現より、神秘的な美しさだな………)
小さめの声でお礼をいってきた名前も知らない、純白な片翼の生えた美しき少女。ホークスはそんな彼女に無意識に視線を注いでいた。