【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第24章 僕のヒーローアカデミア✿ホークス「片翼のビスケット」
オール・フォー・ワンとの戦いの末、力を失ったオールマイトは余儀なく引退。上・下半期と年2回発表されるヒーロービルボードチャートJPが明日、開かれるとの通達を思い出す。
「とはいっても、休ませちゃくれないよねー。よっと…。この後、警察の方でお願いしますよー」
空を飛行して街をパトロールしていたホークスは逃走犯を最速で仕留め、軽く犯人に声を掛けてから飛行を続ける。
この街に明かりがつく限りどこかで助けを求めている。
広過ぎる視野。
不審な動き。
誰かを呼ぶ声。
声にはならない悲痛。
「あァ、おばあちゃん。荷物うえまで………ッ──!!!」
羽を横目でみたが、まだ不安定になるほど羽を失っちゃいない。飛行どころかみるみる羽は石のように固くなり、動かすこともままならない。このままでは地面に真っ逆さま…。
「………あー…サイアク…」
この感覚は何度も経験している。
何度も経験して、苦しいことなのに思い出すごとに切なくて……必ずあいつの名前を呼んじまう。
「………──」
──……
遠くなる青空に手を伸ばし、地面に叩きつけられる衝撃とともに暗転。重たい瞼を開けると寝る時ぐらいにしか帰って来ない、一人暮らしの自分の部屋。
「……………」
あれは……夢だ。
時計は見なくてもカーテンのない窓からの日差しの角度でおおよその時間帯はわかる。ベッドから身体を起こし、大きなあくびをしてカレンダーに目をやる。
「ふぁ~あ。……あーでも、明日は出張だぁ~」
プロヒーローのチャート発表会は本当。夢と現実が混ざった夢なんて見る人は見るでしょーよ。
けど、少なくともあいつを……をあんな目に合わせたのはこの俺だ…。
適当に支度を済ませて、ホークスは今日も朝早くから仕事場に向かったのであった。