【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
郵便受けをみると「雄英高等学校」と書かれた封蝋が施された封筒が入ってあった。しかし、合否の分かる用紙はなく、手のひらサイズの機械らしいものが入っていた。
「…なに、これ…?」
「円盤レコーダーみたいだな。部屋を暗くして投影してみろ」
「ハイテクになったものだ。さすが雄英!」
両親や治崎たちが見守るなか、はおそるおそるスイッチに手の置く。
「……………き、緊張して押せないッッ!!!」
もし不合格だったらどうしよう…。
そもそも大遅刻しておいて期待するのも可笑しな話なんだが、自分のせいで治崎たちの肩身を狭くするのではという重くのしかかる不安…。すると治崎は、の震える手に重ね合わせてきた。
「ヒーローってのは綺麗事で出来ている。人はみんな平等だだとか…、努力は必ず報われるとか…、諦めなければ夢は叶うだとか……上っ面な偽善者…、英雄症候群の病人どもの集まり…。俺はそんな英雄どもは嫌いだが、おまえは任侠ってのを志しているんだろう…?少なくとも俺たちみたいな社会のゴミをひとりの人間として見てくれて、掃きだめのようなあの場所に帰ってくると言ってくれた。その言葉がどれだけ心に響いたか……今のおまえには分からないだろう…。
───…そんなおまえの言葉を夢にみて、おまえを行かせたことに俺は後悔していない。も、後悔するためにあの場に行ったんじゃないんだろう?」
治崎の言葉にコクンと頷く。
「俺はに救われた…。おまえはすごい奴だ。目指す道があるなら最後まで自分の信念を貫け。貪欲に越したことはない」
「……そうですね。治崎さんの言う通り…、悔いはない!自分で自分の可能性を信じたいからっ……!!」
10人のうち1人、100人のうち1人、何万という受験者のなかの1人…、すべて見捨てられたとも思えない。
会場に入れてくれた試験官の人がいたように、消えそうな光を救い取ってくれる人がいるように、後悔したくなくて前に踏み出したんだ。
『──…やあ!僕が誰だか分かるかな?!そう、雄英の校長先生だねっ!』
「っええ……こ、校長先生が…っ」
カーテンで暗くした部屋に投影されたのは、なんと…!雄英高等学校の根津校長からの直々の合否発表だった。