【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
婚約者がヤクザだと知ったの両親は、あからさまに言葉を失っていた。拉致のことは今は伏せて、入試試験を一人で行かせ、そこで出会った若頭の男と一緒になる……なんて聞いたら、言葉が出ないのも当然だろう。
鼻から覚悟はしていたが、このままではきつい。
「この近くの温泉旅館に泊まっているんです。お二人の客室も用意しました。一杯やりながらお話しませんか……?」
ここで一番いい旅館。
場所を変えると両親の表情も少し和やかになり、酒を飲み比べしながら婚約とは関係のない、人柄を知るために世間話なんかをしたりする。
「ん?治崎くん……。肌が荒れているようだが…」
「じつは重度の潔癖症でして…。恥ずかしながら、他人に触れられると蕁麻疹が出てしまう体質なんです」
「あぁ、これは済まないことをした。ということは、にまだ触って…」
「あァ、いえ……。彼女と手を握りましたが、不思議なことに何も起こらなくて…」
「………」
ちらっと前に座るに視線をやると、ニヒルな目を向けられた。理由は分かってる…。それ以上の濃密なことを既にやってしまったからだ。
治崎はの父と喋り、の母は同席させた玄野と酒木を隣りにつかせた。ほかの幹部は部屋から出るなと命じており、遭遇することは先ずないだろう。
(に聞いた通り、父親はかなりの酒豪だな…。どこまで持ちこたえられるか……)
自分から酒を飲もうと提案したのだ。男のプライドが許すはずもなく、引き下がるわけにはいかない。
「あァ、奥さん…酔い潰れちゃいやしたね。奥さんはお酒に弱いんですかい…?」
「俺の家系は強いんだが、女房は酔うとすぐ寝ちまう。はどっちに似るだろうなァ…。なあ、」
「もう…パパったら、お酒強いんだから治崎さん潰さないでね。……私もまだ、治崎さんとたくさんお喋りしたいことあるんだから…」
の言葉は救い手のようにも聞こえる。それよか、そんな誘うようなことを言われたら、と二人きりになって……色々なことをシたい。
まだまだ飲めそうな玄野と酒木に視線を投げ、空気を察して動いてくれ、酒豪のの父を残して部屋を後にすることに成功した。