【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
無理やり抱かれてもなお、の真っすぐで曇りのない瞳をみて治崎は考えてしまった。
(任侠ヒーロー……)
死ぬという恐怖まで与えていないから、まだこんなキラキラと眩しい瞳を輝かすことができるのか……。自分の中にという満ち溢れた少女の存在が、短時間のうちに大きく心境を及ぼす。
「…夢を奪った、俺を……恨むか?」
「恨みませんよ。もう終わったことですし…。でもちょっと…、いやかなり悔いはありますけど恨みはないです」
そのハッキリとしたもの言いに救われた気がする。
「…………まだ12時になっていない。試験は、実際には終わっちゃあいないんだ」
「え?…」
自分でもなぜこんなことを口にしているのか、よく分からなかった。こんなことを言ったって仕方がない、さらに深く傷付けるだけなのに時間があることを口にした。
(俺は、何がしたい……?こいつに、なにを高望みしているんだ?)
と普通にしゃべって、極道の自分が真っ当な人間になったんじゃないかと勘違いしてしまうほど、自分の信念が大きく捻じ曲がる。
「まァ、いまから参戦したところで門前払いにされる可能性が高いが……」
汚れた自分のなかに、ダイアモンドみたいに綺麗な心がどんどん入ってくる。汚れた人間なのに、といるせいで頭がおかしくなっている。
「……ぃや、なにを言っているんだ俺は。おまえを外に出したら俺の存在がバレちまう。なにをあり得ない…。おまえはもう外の世界には出れない。だからこの鍵の掛かる部屋を準備した。おまえはもう、パパにもママにも逢えず、この隔離した小さな空間で、俺だけを感じて生きろと……」
「心の声、ただ漏れなんですけど」
動揺して口から声が漏れてしまった。心が洗われるというのはこういうことなのだろうか…。もしや音本……いやそれは考え過ぎだ。
「───…続きをやろう」
「いま思考が一周しましたよねっ、自分が脱いだこと思い出しましたよね!けど、ムードもへったくれもないからッ!!終わったらここに戻ってくるから、入試受けさせてください!!」
こいつはバカか?
自ら此処へ戻ってくるだと…?
の偽りを感じない言葉にまた心が揺らいだ。