【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
治崎の脱いだ姿は、程よい筋肉のついた見惚れるほどの綺麗な裸体だった。
「和彫り……入ってないんですね」
「そんな言葉よく知ってるな。資料でも確認したが筋もんじゃなかった。知り合いでもいたか…?」
「極道とかヤンキーが登場するゲームでちょっと目にしたんです。ヒーローゲームも勿論そうなんですけど、地元ではそっち系のゲームが流行ってて…」
「治安が悪いな…。ゲームに影響されて口の悪さが少し出てたのか。俺がいうのもなんだが、ヒーロー志望なんだろう……?」
「世のため人のため…、極道にも任侠っていう言葉があるじゃないですか。私、そういうヒーローになれたらいいなァ~って思ってて。そしたら、なんか…マジなところに来ちゃって……はは」
「………、」
これはある意味、運命的に惹き合わせるものがあったのだろうかとさえ思ってきた。雄英の入試会場の門をたたく前に極道の世界に巻き込まれ、若頭の妻になれだの、ファーストキッスも奪われ、処女喪失もするし、色々なことがあり過ぎてハプニングざんまい。
「くっ、……くはははははッ!!」
「な…なに大笑いしてるんですか……」
治崎は突然、顔に似合わず弾けたように大笑いをし出した。おかし過ぎて顔を半面押さえて肩を震わして、ちょっと目元も滲んている。
「あァ………、なんだか…無性に嬉しくなった。は俺たちのこと、ヴィラン組織の連中と同じ悪人だと括っていないんだろう?極道ゲームが好きだとか…、任侠ヒーローになりてェだとか……くくっ、理にかなって笑うしかない」
「全然笑えませんよ…。いま何時か分かりませんけど、説明会とか、筆記試験も実技試験もぜーんぶ終わっちゃいましたよ。きっと…!」
「………入試は何時からなんだ?」
「9時です。午前と午後にわけてお昼も挟んで五教科やって、それから実技だったはずです」
「そうか……」
「?」
ヒーローの夢は閉ざされた。
ヒーロー業界では屈指の名門校、雄英の倍率はなんと300倍。担任にはおまえなら出来る!ではなくて、まあ…やれるだけ頑張ってこい!だったし、期待されていないのは分かってたいたけど。
思慮の顔つきになった治崎は、それだけ聞くと触れて来ようとはせず、おもむろに黙ってしまった。