【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
彼の言葉が嘘か誠か正直分からなかった。けれど胸のうちを話してくれているような、そんなほろ苦い表情に心は移ろっていく。
「おまえのことがどんなに愛おしくても、無茶させているんだと…おまえのことを見ていて思う…」
「………」
無茶させているんだと思って、手を休めてくれて、必死に言葉で伝えようとしてくる治崎。そんな彼の言葉を無視することなんて出来なくて、呼吸を整えるなかで耳の奥でしっかりと聞き入れる。
「頭が追い付かないのも俺も同じだ…。をこの腕に抱いた瞬間、身体が先走ってしまった……。申し訳ない」
「………」
今までの経緯と謝罪。ぎゅっと抱擁された時に感じた想いと、先走った想いがようやくのなかでも一致して、恐怖という感情は徐々に緩和されていく。
「おまえが欲しい。を、最後まで抱きたい。心も繋がった状態で……。叶うなら、俺だけの想いだけでなく……と、いっしょに」
「………、」
予告もなく拉致され、治崎の前に突き出され、この人に殺されるんだと思った。
声が聞きたい。
好きなものが知りたい。
苦手なものを知りたい。
連れ去られたことに変わりはないけど、不器用な治崎なりに距離を縮めようとしていた。ヤクザと知れば絶対に遠ざけていた存在。親に教えられ、関わってはいけない人たちだったから。
妻になってほしい。
触りたい。
我慢できなくなった。
蕁麻疹が出たところをまだ一度も見たことはないけれど、部屋はどこも見渡しても綺麗で、お風呂場もきっちり整理整頓されていた。冷たい目だと思っていたけど、頬に触れてきた時の表情は、ホンネを垣間見せたほっと安心したような暖かみの色。
抱きたい。
抱かせろ。
愛してる。
大丈夫な人間に触ることができて、治崎にとっては止めようのない感情だったのだろう。言葉で伝えるより体が先走って、触れなかった色々なところを触れるようになってしまって、暴走してしまったんだ。
愛してる…
愛してる…
愛してる……と、
そう何度も囁かれて、良い言葉もとても怖く感じられた。
それなのに急に優しく愛撫してきて、熱く切ない吐息をあててきた。手足も固定されて抵抗できないのに、自分を優先することなく気持ち良くさせてきて、それ以上ひどく犯してくることはなかった。