【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
肩で荒い呼吸を繰り返す。
「──…」
拍子にもなくまた胸が軋む。
(違う…。俺は、こんな一方的な愛し方を望んじゃいない)
どうでもいい、最初のうちは紛れもなくそうだった。自分さえいい思いができれば、どうでもいいと思っていた。けれど、興奮する体とは裏腹に、の泣き顔を見るたびにひしひしと心が蝕まれていく。
(どうすればいいッ…。まだ、この関係が修復できるのなら……俺は、)
取り戻した理性で考える。
疼く下半身が破裂してしまいそうで次に進みたいが、の呼吸が整うのを選んだ治崎。おのれの獰猛な部分を押し殺し、とりとめる言葉を探して……想いを紡ぐことに必死になって。
「………俺の声が聞こえるか?…」
「………」
「。俺は……人にやさしくするのが慣れていないんだ。おまえのことがどんなに愛おしくても、無茶させているんだと……おまえのことを見ていて思う」
「………」
「愛してる、だけじゃ伝わらないんだろうが、俺はおまえを心の底から愛している。今日初めて…数時間も経たないうちにこんなことをされて……、頭が追い付かないのも俺も同じだ。をこの腕に抱いた瞬間、身体が先走ってしまった……。申し訳ない」
「…」
「こんなことをしておいて、今さら言い訳に聞こえるかもしれないが…おまえが欲しい。を、最後まで抱きたい。心も繋がった状態で……。叶うなら俺だけの想いだけでなく…と、いっしょに」
「………、」
ひとりよがりはもううんざりだ。
置いてけぼりの気持ちを確認したい。
──…写真をみて、普通の小娘だと思った。
目の前にして、怯えたいたいけな子供で、自分と適合するか早く調べたかった。
話してみて、愛されて育った気の強い子供なんだと感じた。
抱きしめてみて、壊したくなった。
涙をみて、すれ違っているんだと気付かされた。
それがひどく辛くて…、
「…治崎、さん…」
「っ」
「………最後まで…抱いてください…」
「───」
はじめて彼女は俺の名前を呼んでくれた。嬉しかった。
柄にもなく目頭が急に熱くなって、気付かれないように強く抱き寄せた。