【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
男慣れしていないその反応や仕草をみせ、暴れていた女は次第に大人しくなった。こんな長い時間他人に触れたことはない。嫌悪感はまるでなく、自分と融合してしまったように身体にしっくりと馴染んでいる。
(あたたかくて、やわらかくて…、気持ちいい…)
抱きしめるの体温が、感触が、匂いが、拒絶反応することなく、自分の身体のように受け止めることができている。
(尊いな。これは……)
こんないいモノ絶対に手放したくない。逃がしたくない。誰にも取られたくない。誰にも触れさせたくない。誰の目にも触れず、ただ自分だけを必要としてくれる存在でいて欲しい。
──あァ、そうだ…おまえは俺のモノなんだから、
「も…っと…」
「?」
「もっと、と混じり合いたい」
「……ぇ?」
すべての五感を体験したい。捕食者という己の本能が剥き出しになり、まだ味わっていない味覚を伸ばす。口の中には何種類もの細菌がいることは知っている。だが、脳も身体はそれを試したがっている。
「ゃ……や…めてッ」
「なぜ嫌がる。さっきまで大人しく俺に抱かれていただろ。今度はキスがしたい。蕁麻疹が出るか試したいんだ」
「ぜったい潔癖とか嘘でしょ!潔癖の人がキスしたいとかいうはず絶対にないッ!!」
「確かに、他人のシーンを見るだけで虫唾が走る。画面越しでもな。口の中は肛門よりも汚いと歯科医の先生も言ってる。論文も証明しているんだ。だが、目の前で組み敷かれているおまえをみて俺は試したいと思っている。顔を背けるな、俺をみろ」
「いーやーだァ!セクハラだッ!先生に言ってやる!!」
「先生?…。小学生でももう少し方便があるだろう…」
「まだ小学校卒業して、3年しか経ってないんだよォ!キスとか、そんなアダルトなことできるわけないじゃん!歳を考えて、歳を……!!」
「まだ15歳だろ?………あァ、急にガキを組み敷いている気がしてきた」
「そうでしょォ!?」
すこぶる純粋ぶった対応で逃げ切ろうとする。無理やりにでも抱けるが不意に出会った時と比べてしまい、こみ上げた黒い感情が遠退いて、テンションの違いにくつくつと笑いが込み上げてしまった。