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【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。

第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない



「あァ……蕁麻疹が出てこない。俺とおまえは適合者だ」

マスクをベッドに置いた治崎は、と同じ空気を吸って、満足したようにほんの少し口角を上げているようにみえる。

「空気で、蕁麻疹が発症しちゃうって、すごい…大変そうな病気ですね」

「は俺の病気を理解してくれるのか。あァ…そうなんだ。他人に触れられた、他人が触ったものだと思うだけで、全身に蟲が這ったみたいに悪寒が迸る。この上なく不愉快ッ。だが…だけはそうじゃない。俺はずっとおまえを探していた。俺が触れても発症しない大丈夫な人間。だからおまえを妻として出迎えたい」

(だったら普通に言ってこいよ。とはいっても、この人。極道の人間なんだよなァ……)

世間からは極道なんて天然記念物扱いとされているが、警察にも未だに見張られており、完全には普通の人として扱ってはもらえない裏社会の人たち。世間体から存在自体が薄くなっても、なにより裏で薬物を売りさばいていると知れたら、簡単に足を洗ってなんてことは口にできない。

「……触れてもいいか?」

「大丈夫だと分かったらぐいぐい来ますね。蕁麻疹発症したら破談になりますか?」

「触りたい」

「えっ、いや、触るってどこをッ……ぅ」

白手袋を外した潔癖症の治崎は、ひたっとの左頬に手を触れさせた。その手のひらはちょっと冷たくて、けれど人の血を通わせている常人とも思える感触。

「あァ……おまえは個性という病気を持っているが、俺が触れてもいい大丈夫な人間だ。検査結果が出なくても、俺はおまえに触れている」

(まさか。それが理由で……)

確かに肌身で感じて自分を実験体にするのは手っ取り早いが、さぞかし辛かろう。蟲が全身を這うような悪寒…。

山や森に出掛けるのは楽しいが、蜘蛛とか蚰蜒とか苦手なのでその気持ちはよく分かる。益虫で害がない虫だということは知っているが、見た目や思い込みで激しい嫌悪感を抱いてしまうのだ。
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