【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
ドヤった顔で治崎はそういった。
「は?」
は驚きのあまり、素の表情になって口が半開き状態になる。言葉が理解できないのではない。理解したからこそ、このような表情を作り上げてしまったのだ。
「俺がいった妻は、刺身の添え物としているツマではないぞ」
「いえ、それくらい分かってます。急にボケないでください。そこまで馬鹿じゃないです」
「なら光栄に思え」
「んんん~と、えっと…、ちょっと待ってください。ちょっと頭の中で整理させてくださいッ」
「あァ、少し時間をやろう……」
なにもない壁側を向いたは一旦深呼吸をする。
シリアスな空気から一変、ギャグ要素をぶっこんできたヤクザの若頭。妻になってほしいから身元を調べて拉致をした。採血したかったのは、健康な身体かどうか調べたかったからなのだろうか。
(この状況で冗談っていうのもふざけてるし…。それにしても、ヤクザの若頭なのに注射の扱いに慣れてたけど)
「薬物、やっているんですか…?」
「裏では出回ってるがやってはいねえ」
「私、中卒ですよ?」
「年齢や学歴は不問だ。それらを考慮したうえでが欲しかった」
「………」
が欲しい…──
この人は頭がイカれている。
それに、今まで異性に求められることがなかったからドキドキと心拍数が上昇中。いま脈を取られたら最悪。やっぱり男の顔が良いからか。それとも耳障りがいい低い声だからか。清潔感のある匂いがするからか。そんなアホな!!──半分顔が隠れるマスクを取ってはやく現実をみせてほしい。
(あ。そうだ!)
「まッ……マスク…」
「マスク?このマスクは言っての通り、汚い人間と同じ空気を吸いたくないから……。あァ、おまえなら大丈夫かもしれない」
「え…」
自分で提案しておいて焦る。それは、治崎の抑揚のない声が不気味にも高揚したように上ずったからだ。
「ゃ…やっぱり見たくないです…」
「空気で蕁麻疹が出たらすぐ付け直す。見たい、見たくないのと、マスクで俺の顔面偏差値はそこまで変わらん」
(自己中なのか、この男ッッ……──ぁ。ほんとだ…)
むしろマスクが邪魔なくらいだ。顔はフツーにイケメンの部類で、さっきまでひどく貶していた自分が恥ずかしくなって俯いた。