【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
ハッキングした情報と照らし合わせて、99.9%の照合が一致したとの調査報告。ただそれは確証づけるには不十分であり、実際に新鮮な遺伝子と組み合わせてみないと証明は得られない。
「採血は以上だ。血をみるのは苦手か…?」
「いえ……」
「なら針が怖かったのか?」
「いえ、そうでもなくて」
なら何故そんなに怯えている、と聞いても返ってくる言葉はないだろう。
(…この子を無理やり拉致した事実は変わらない。この子の気持ちを無視して、俺の指示で奴らは動いた。これはすべて俺がやったことであって、この子の意志を尊重することは何一つとしてない。なにも気にする必要なんてないのに…こいつと話してると、妙な気分になる…)
「血を抜いたから水分補給をした方がいい。あとから飲料水を持ってくる。そうなると冷蔵庫も必要だな…。そのほかに、部屋に欲しいものはあるか?」
「え…?」
「ベッドだけでは退屈だろう。必要なものはあるかと聞いたんだ」
「………」
少女は怯えた表情から、また悩んだ顔つきに変わった。ふと左頬に残った傷跡に目にする。個性のコントロールなど知識が及んでないのにも関わらず、つくづく馬鹿馬鹿しいと思ってしまう。
「その頬の傷…、まだ新しいな」
「え?ああ、これは……その。飼い猫に引っ掻かれて」
「猫を飼っているのか。名前は?」
「みぃちゃん、っていう女の子です」
「みぃちゃん、か。それで…、きみの名前は?」
「え?…あの、私を知らないで誘拐してきたんですか?」
「誘拐じゃない、拉致だ。騙されてここに連れて来られたわけじゃないだろう。…きみは名乗らず、親に付けてもらった名前を捨てるというのなら、俺が代わりに名前を付けてやろうか?」
「それはちょっと…」
「最後にもう一度聞く。きみの名は?」
そう聞くと、ようやく彼女は自分の名前を口にした。一方的に治崎が話すだけだったが、の言葉数は最初の頃に比べると多くなったのを実感する。
が質問の内容に答えると、治崎は立て続けに口を開いた。